1.19 更新 【S.S】2度目の初恋。

いつもの面子。 ページ3

出勤したのは6時30分。


普通だったら行きたくないって思うかもしれないけど､私はこの仕事が好きだ。






航空機の離着陸の瞬間を間近で､しかも指示を出すことができる仕事なんてこの世に１つしかない。


『航空管制官』






それが私の仕事｡7時出勤もリビングにある出勤時刻カレンダーもこの仕事についた時に購入した｡
今はチーム全体のミーティングと事務作業｡管制官といっても、国土交通省の一公務員。事務作業やらないと結城さんに叩かれるしね。面倒がってる先輩たち、怒られてるよ｡
これも週一回は必ずだから｡なんで学ばないかな､もう｡





「うるせーよ！」


紺野さんの言葉で皆苦笑いしてるじゃん。もう1人怒られてた岡本さんの怒り方は面白いんだよね｡「シャー」とか言ってんだけど。





「お前らちゃんとしろ〜」


今の方が主幹管制官の結城さん。チームのリーダーで個性的なメンバーを飴と鞭を使ってまとめてる｡紺野さんや岡本さんと対照的なのが八嶋さん｡
しっかりと着実に仕事をしている姿が印象的｡


ご本人はのほほんとしているんだけど｡






「ブリーフィング､始めるぞ〜。今日は西日本に台風が接近してる。関空･伊丹セントレアはかなり危ない。成田とここ羽田に航空機が押し寄せる可能性がある｡念のため滑走路の空きを確保してくれ」

「分かりました」

「よし、ブリーフィング終了〜」



通称タワーと呼ばれる運用室に入るとそこはもう緊張の時間｡もう聞き慣れた英語と日本語と管制用語が飛び交う現場。





これに慣れるまでに時間かかったなぁ｡



(東京タワー、こちら日空820便。ミッキーを通過しました。スポットは62番です)

(日空820便、こちら東京タワー。進入を続けてください｡あなたの順番は3番です。5マイル前に他機があります。最終着陸状態のボーイング777です。)







後輩の山田くんから回ってきてたストリップの字は…汚い。目を凝らせば辛うじて読めるけど。
山田くんの同期の真奈ちゃんは普通に読んでる。すごいよね。解読不可能って言ってる人もいるんだから｡睨むと怖いって過剰に怯えてる｡






(東京タワー、こちらジェットストーム)


あれっ、この声どこかで聞いたこと……。

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