【募集企画】仮想世界戦争【#コンパス】 (ページ21)

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17.麗しき我らが姫君ページ21

続々と集まってくるキャラクターを見ながら私は講義室の中で嘆息した。怪しいのだ、確信がある訳では無いけれど漠然とした不安に包まれている感覚。無機質なAndroidは微笑みながらこちらを見つめているけれど。

「えーと、お二人さんもメールで呼ばれたのかい？」

頬を掻きながら私のアバターは苦笑いを浮かべる。人懐っこそうに設定しているからだ。私がその設定をしたのは単に現実の私が人に愛嬌を振りまくことの必要性を感じていないから。自分ではない自分を演じてみてどう感じるかを知りたかったからである。

見覚えのあるようなないような、忍者のような姿の少女と露出度の高い女性と深川まといこと私、そしてVoidoll。3人揃ったこともあり、Voidollは口を開く。

「今回皆さんに集まってもらったのはこの緊急事態を解決していただくためです。」

その一言に忍者と女性が顔を強ばらせる。対して私のまといは顔色ひとつ変えず不敵な笑みのままだ。この部分は設定の変更をした方がいいかもしれないと考えながら私は挑発気味に切り込む。

「ありゃ？#コンパスのシステムは国連も介入してるって聞くし簡単にバグが起きるようなもんじゃぁないんじゃなかったかい？」

ムッとした顔になったVoidollは口を開いた。どうやらその質問には答える予定があったらしい。

「確かに深川まといさんの言う通り#コンパスのシステムは並大抵の技術では解くことができません。デスガ｣

Voidollの説明が行われている最中、突如Androidの背後にバグが現れたのを私は目視した。それはVoidollに襲いかかろうとしている。位置的にちょうどVoidollの影なので斜めにいる私にギリギリ見えるか見えないか程度だった。故に彼女らは気づいてないだろう。

深川まといが反射的に攻撃モーションをとろうとしたのを、私は強制解除する。

「管理用AIが占拠されたらさぁ。」

流石にプログラマー直接出てくるでしょ、と笑いながら私は事の顛末を見届けることにした。そもそもVoidollに応対させていることが気に入らない。Voidollの口振りからするに私を含むプレイヤーたちに何らかの労働をさせようとしたのだろうがAIごときにお願いされても誠意を感じないのだ。事の発端である#コンパスの製作者やプログラマー、社長格の人間に出てもらわないと納得がいかない。

しかしながら、現実はそう上手くは行かない。ある乱入者のせいで私の目論見は泡と化す。

「私はルチアーノだ、よろしく頼む。」

思わず私は舌打ちした。