夢を駆ける【prsk】 (ページ5)

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兄が亡くなって、ずっと立ち直れなかった

小学3年生までずっと一緒にいてくれた司

妹の咲希ちゃんを笑顔にするために、将来ショーをする！！と言っていた

入院している咲希ちゃんを勇気づけるように、私にもたくさん笑顔で接してくれた

だけど、私は笑顔に慣れなかった

司を信頼していなかったというわけではない

ただ、私の中ではやはり兄を亡くしたのはとても大きな事であった

そう、中学に上がるまでは笑顔になんてなれなかった

中学校は司と離れてしまったため、私は本当の1人になってしまった

入学して数ヵ月して、私は立ち入り禁止の屋上へ行った

何故屋上に足を踏み入れたのかなんて分からない

兄のいない世界が嫌になったのかもしれないし、生きてることに価値を感じられなくなったのかもしれない

遠い空へ近づくために行ったかも、なんて

屋上に着くと、空は青かった

『………お兄ちゃん…』

今、私はお兄ちゃんの近くにいるのかな

亡くなった人たちは星になるって聞いたけど

この青い空に紛れて、いるのかな

ここから落ちたら、私はお兄ちゃんの傍にいれる…？

そう思ってからフェンスを越すのに時間なんてかからなかった

ひゅー、と風の吹いている音がする

風の勢いに任せて、飛ぼうとした

………なのに止められた

「ここから降りるなんて、許されないよ」

あぁ、そうだ

あの時、類に止められたんだ