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Aside
リミッターを、外すのよA。
心の中でそう自分につぶやいて、ゆっくり閉じていた瞼を上げた。
シャンパングラスを傾ける私に集まる視線、その全てを見渡して、ニコリとほんの少し微笑んだ。
指先まで神経を張り巡らせて、どこまでも美しく見えるように。
ATSUSHI「こーら、あんまり大人を揶揄わないの」
北人「…Aさん、マジやばいっすよ」
真っ赤な顔したほくちゃん。
他のゲストたちもほくちゃんと同じ顔であることに、私は高揚感に似た感情を抱いた。
ここにいる誰よりも美しいのは、私。
そう自己暗示をかける。
「あら、何のこと?」
グラスの中身を一気に喉に流し込み、唇をひと舐めすると、ゴクリ…誰のものとも知れない音が聞こえた気がした。
これでいい。
私は、『峰不二子』なんだから。
『失礼、こんばんはレディ。レディはどちらのモデルさんかな?』
「こんばんはお嬢さん、とっても綺麗だね。日本の方?女優さんかな?事務所はどこなの?」
『やぁレディ、君みたいな美しい人は見たことがないよ。ドレスもとっても素敵だね。一緒に一杯どう?』
どうやら私の演技の仕上がりは上々のよう。
目の前に群がる紳士たちは皆、名だたるハリウッド俳優や世界的アーティスト、有名企業の代表たちばかり。
日本語と英語が入り混じるこのカオスな雰囲気に、少し笑いが漏れる。
フッ、と笑みをこぼした私に、群がる男達は一気に頬を染めた。
微笑んでその場を離れようとしたところで、聞き慣れた声が私を引き留めた。
⁇『やぁ、誰かと思ったら。久しぶりだねA』
本当に久しぶりな彼は、ゆっくり私の前に来ると私の前に跪き、私のグラスを持っていない方の手をそっと取って、その手の甲にキスを落とした。
『随分とキザなことするわね、ジャスティ。久しぶり』
北人「ッッ!ジャスティン・ビーバーさんだ!」
両手を口に当てて、まるで女子高生みたいな喜び方をしてるほくちゃん、可愛すぎる。
ジャスティはアメリカにいた頃、おばあちゃんの音楽学校にボイトレとギターのレッスンに通っていた生徒さん。
今じゃこんなに有名になってるけど、彼は昔から全然変わらない。
JB『まさかここでAに会えると思ってなかったからさ、今すごく嬉しいよ』
『そろそろ立ってくれない?私も会えて嬉しいわ』
JB『あれ?理想のタイプは王子様みたいな人じゃなかったの?』
『あなたの柄じゃないでしょ。それにそれ、子供の頃の話じゃない』
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water(プロフ) - 最近このお話を見つけて2日で読み切っちゃいました!wめちゃめちゃ好きなタイプのお話なのでリピートさせてもらいます‼️続きを楽しみにしてます(*´˘`*)♡ (2023年1月13日 16時) (レス) id: 649b8529b5 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - ゆりえさん» コメントありがとうございます🙇♀️そういうコメント嬉しすぎてニヤニヤしちゃいました🤭このストーリー好きとか、リクエストあったら遠慮なくどうぞ🫡✨ (2023年1月9日 17時) (レス) @page48 id: ec092ecf0a (このIDを非表示/違反報告)
ゆりえ(プロフ) - こんばんは!更新めちゃくちゃ楽しみに待ってましたーーー!!!このお話し大好き過ぎるので、よく1から読み返していたので続きが気になりすぎていました✨また更新楽しみにしていますね☺️ (2023年1月6日 1時) (レス) id: 4382da2c62 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - anさん» とっても嬉しいコメントありがとうございます^_^!更新頑張りますので、気長にお待ちください(^^) (2022年12月23日 2時) (レス) id: ec092ecf0a (このIDを非表示/違反報告)
an(プロフ) - めーちゃくちゃ更新楽しみに待ってました⸜(๑⃙⃘'ω'๑⃙⃘)⸝更新ありがとうございます!続きも楽しみに待ってます! (2022年12月21日 14時) (レス) id: 0a24ea1d34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2022年1月31日 14時