可愛い私の困ったチャンたち。7

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ATSUSHI side



Aは正直、俺より遥かに芸能人オーラがある。

2人で街中を歩くときでも、身バレするのは9割方Aの方から。


今だって、修学旅行風の女子高生達にキャーキャー言われたり、サラリーマン風のスーツ姿の男達に『あれこのまえネットニュースになってたモデル？じゃね？』と注目を集めているのは紛れもなくA。

軽く手を振っただけのその仕草は、まるでハリウッド女優のよう。

膝から崩れ落ちて涙している女子高生達の気持ちがわからないでもない、むしろそれは当たり前の反応。


慣れないなぁ、なんて呟きながらもリムジンに優雅に乗り込んでドレスの裾を気にしながら席に座ったAの美しさは、何にも例えようがない。



北人「Aさん、どうぞ」

備えつけの小さな冷蔵庫からシャンパンを取り出して楽しそうにそれを開け、俺とAにグラスを渡す北人は、スーツやヘアセットなどのためかいつもよりも大人に見える。

どこぞの高級クラブのNo. 1と言われても納得できる仕上がり。


「ありがと。じゃ、嫌味な女をギャフンと言わせちゃおう大作戦の成功を祈って！かんぱーい」

ATSUSHI「かんぱーい。Aさ、本当ネーミングセンスないよね」

「ひどい、結構真剣に考えたのに」

北人「今どきギャフンなんて使うの、Aさんくらいじゃないっすか?」

ATSUSHI「Aはアメリカ育ちだからね、最近の言葉は知らないよね」

「あっくん…フォローが痛いよ」


乾杯して煽ったシャンパンはAも俺も好きな味で。

2人で一気に喉へと流し込んだ。


北人「…飲み過ぎですよ、って言おうと思いましたけど、お二人は大丈夫でしたね」

まあ、俺もAも酒は大概強い。


「ふふ、気合い入れにはちょうどよかったわ」

ATSUSHI「スイッチ入った?」

「スイッチ、ねぇ」

ATSUSHI「どんなキャラで行く?」

北人「あ、それ聞きたい！」


冗談めかしてそう聞けば、Aは少し考えたあとにニヤッと笑って言った。


「せっかくセクシーなドレス着せてもらったから…ニコ・ロビンとボア・ハンコック的な芯の強さと、峰不二子のセクシーさで行こうかな」

北人「おぉ！ピッタリ！じゃあ俺は…五条悟みたいな最強キャラ！」

「ふふ、いいじゃん！あっくんは…ん〜、ハウルみたいな完璧王子キャラ！」

ATSUSHI「俺だけジブリ?まあ、Aが言うなら何でもいいけど」


Aはそこらの女優より演技力がある。

彼女のスイッチは、半端じゃない。

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