可愛い私の困ったチャンたち。7

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SG side



えらくネイティブに聞こえた返事に、少し笑ってしまう。

『えっと、なにか？』

そんな俺を不思議に思ったらしい純白の彼女は、若干の間をあけて韓国語でそう言った。

あぁ、外国人か。

見た目、アジア系の顔だから韓国人じゃないなら日本人か？



SG『いや、何でも』

彼女にそう返して自分も鍵盤に指を置く。

一呼吸ついて、彼女の奏でるメロディを追いかける。



大きな瞳を一瞬さらに大きくして驚いた様子の彼女。

彼女が先ほどから奏でていたのは、きらきら星。

ありふれた曲だが、それを見事にアレンジしていて。

そのアレンジに俺がさらにアレンジを加えたメロディで追いかける。




さぁ、どう来る？



実はこれが見たくて、わざわざこんな目立つことをしたんだ。

俺の挑発にどう返す？

そう、これはハッキリ言って挑発だ。


喧嘩を売る様にメロディの駆け引きをする。



ニヤリと笑った俺、とは言っても帽子にマスクのかなり怪しい格好で、ほぼ目なんか見えてないだろうけど。

と、驚いてたと思った彼女は一瞬不敵に微笑むと、目線を俺からピアノに戻して一気に指の動きとスピードを上げた。

ただの速弾きじゃない、一つ一つの音が細かく分散され、絶妙な和音を奏でている。

それが幾重にも重なって、音の層は重く厚くなったのに、耳に届くメロディはさらに清く軽やかになる。



…いやいや、聞き入ってる場合じゃない。


飲み込まれない様にと必死に音を探して、リズムを凝らす。




しかし、どうやらこの純白の彼女、リズム感もチート級だった様で。

難なく俺の繰り出すメロディに合わせて付いてくる。



思わず笑いが漏れる。

SG『…俺の負けだな』



そうこぼした俺に、純白の彼女はやはりちょっと変なイントネーションの韓国語で『勝ちや負けがあったの？』と。


SG『ハハハッ！！完敗だ！』

どちらからともなく曲を終えると、辺り一帯からすごい歓声を受けた。

久しぶりにこんなに笑った。

朝から立ち上がった彼女に向かって手を出すと、少し俺の手を眺めてぎゅっと綺麗で華奢な手で握り返してくれた彼女。


無垢な瞳で俺の目をじっと見つめてくるから、俺も見つめ返して気づいた。






あれ？俺、人の目が見れてる？





長年一緒にいるメンバーとでさえ、長い時間目を合わせることができない俺なのに、この初対面の彼女とは何の違和感もなく目を合わせている自分がいて驚いた。



『えっと、ありがとうございます。楽しかったです』

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