あの鈴の音をもう一度。 (ページ45)

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A side

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海人から呼び出されたのは海人が帰ってきてから2週間目の土曜日。深刻な顔をした海人が俯いている。

A、黙っててごめん

そう言って重い口を開けて話し始めた。

　

「元太のこと話すの、ずっとはぐらかしてた。言うのが怖くて避けてた。

でも、もうそろそろやばいと思って...。元太、ガンなんだ。もう余命宣告もされてる。俺が会った時発作起こして、もう長くないって...っ、

黙っててごめん。元太のこと楽しそうに話すA見てると苦しくて言えなかった」

突然のことに理解が追いつかずに立ち尽くす。

ガン？元太くんが？あの日苦しそうにしてたのもガンだったから？元太くんから返信が来ないのも、ガンだから...？

「元太もう動けないんだ。自分ではもう。だから返信も出来なかったって。俺、夏から知ってたんだ。ごめん。」

『...海人が私のこと考えてくれてたのも分かるから、いいよそんなに謝らなくて。...私、元太くんに会いたい。』

「...俺がおばさんに適当に理由つけとくから、今すぐにでも行って欲しい。元太、Aに会いたいって言ってた。」

『...っ、ありがとう』

急いで電車に飛び乗って、東京へと向かう。まだちゃんと理解出来てないけど、もう二度とないチャンスを逃す訳には行かない。

電車に揺られながら思わず涙がこぼれて止まらない。最後に見た元太くんの顔、車の中で手振ってくれたけど、寂しそうだった。あーあ、もっと早くに気持ち伝えればよかった。少しでも、恋人同士になりたかった。

僅かな希望をもって東京行きの切符をにぎりしめる。早く、元太くんの元に行ってちゃんと気持ちを伝えたい。好き。愛してるって。

ちゃんと伝えたいから、まだいかないで

私を置いていかないで

　

　

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