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中村 side
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病人相手に何を競おうとしているんだと頭を冷やす。好きなのかもしれないんじゃなくて、どう考えても好きでしょ。あー、ダメダメ。わざわざ東京来てまで喧嘩なんかしたくない。
スースーと寝息を立てながら寝る元太。しばらくするとまた松倉さんが来た。あ、昨日の って会釈。お互い人見知りだから携帯いじるくらいしかやることない。
｢...あの、｣
ふと松倉さんが口を開く。昨日タメ語でってなったのに敬語になってるけど、まあいっか。
『ん？』
｢元太があっちで好きな人できたって言ってて気になるんですけど、写真とかあります...？｣
『あるよ、てか敬語じゃなくていいのに』
｢あっ、そうだった...｣
人見知りなんだろうな。俺も人見知りだけど、俺の人見知り具合を超えてるからなんか普通に話せちゃう。松倉くんにAの写真を見せると、結構可愛いんだね と納得の様子。まさか松倉くんも好きになるなんて言わないよね？いやないない。さすがに敵増えすぎて俺が無理。
｢元太がさ、あっちから帰ってきた時めっちゃ笑顔でさ、俺めっちゃ嬉しかったんだよね。病院詰めであんまり笑顔見てなかったからさ｣
『そうなんだ』
｢あ、俺最近カメラ始めたんだ。元太沢山撮ろうと思って。ほらみて、この元太良くね？｣
急に饒舌になったと思えば元太の話。付き合い長いんだろうな。元太の写真見てる松倉くん幸せそうに笑ってる。
｢元太と仲良くしてやって。海人君の話もよく楽しそうに話してたからさ｣
『もちろん。』
話が温まってきたところで布団がモゾモゾ動き出す。パッと目を開いて、海斗だ とねむそうな声。
｢よっ｣
｢海斗珍しいね、こんな時間に来るの｣
｢有給貰ったんだ｣
｢おー。あ、海人と海斗、仲良くできた？｣
『...多分。』
｢そっかそっか、良かった｣
そう言って微笑む元太。
｢2人ともLINE、交換しなよ｣
『確かに』
｢しよっか｣
ギターのアイコンに元太とのツーショットがホーム。ギターやってるんだ、かっこいい。
｢仲良く、してね｣
『わかった。てか、そんな話さなくていいよ疲れるでしょ』
｢過保護だなぁ、海人は｣
結局恋の闘争心は消えないけども、すこしは許容してもいいかも なんて思いながら松倉くんのカメラを取ってパシャリと思い出を残した。
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作者名：夕 | 作成日時：2021年7月1日 21時
