あの鈴の音をもう一度。 (ページ23)

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『よっ、まじ腹減った』

海斗はまるで何も無かったかのようにコンビニで買ったチキンを食べ始めた。海斗なりに気を使ってくれているのだろう。食べ終わった後に少し間を開けて、元太の分残すの忘れたの一言。思わず吹き出してむせる。転移のこと話すと思ったらそれかよ。笑海斗らしくて少し気持ちが晴れた。

『で、脳腫瘍...だっけ？俺なりに色々調べたんだけどさ、いつか記憶障害とか目見えなくなったりするんだって。あ、ごめんこんな暗い話。』

｢いいよ、続けて｣

『うん。...でさ、いつか俺のこと忘れられちゃうんじゃないかって思ってさ、なんて言うか、その、』

｢俺が仮に忘れても、もっかい自己紹介してよ。きっとまた友達になれるよ｣

『...そうだな。そうする！あっ、もし目が見えなくなったら嫌だから今のうちに俺の顔目に焼き付けといて』

そう言って俺の目の前まで顔を近づけてじーっと見る。いや、近すぎて逆に見えないよ。笑

10秒くらいで海斗は満足したのかいつも通り雑談を始めた。やっぱ海斗と仲良くなってよかった。まじ最高の親友だわ。

『あっ、そうだ元太。俺これからできる限り来るわ。まじでほぼ毎日行く』

｢わかった、楽しみにしてるね｣

『じゃ、明日』

昔みたいに大爆笑は出来ないけど、久しぶりに笑った気がする。もう少し明るく生きてみようかな。微笑みながら小言を言う。

『どうしたのそんなに、幸せなことでもあった？』

気がつくと宮近先生が部屋の中に入っていた。聞かれてたのちょっと恥ずかしい。友達が面白いと伝えると良い友達もったねと笑う。宮近先生って笑う時ニコッって笑うんじゃなくてふにゃあって笑うんだ。男ながらに可愛い。

『そういえば昨日の結果如恵留から聞いたよ。頑張れとは言わないから、ゆっくり闘おうね』

｢うん｣

頭をポンポンとされる。俺小学生だと思われてる？もう大学生なんだけど。でも、少し嬉しくてありがとうと小さく呟いた。