あの鈴の音をもう一度。 (ページ16)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:24,258 hit

#_16 ページ16

.

それから毎日世間話をしたりその時の症状とか心境とか話して、退院前よりも少し気が楽になった。あとは、手先がいよいよ動かなくなってきた。海人やAと連絡を取るにも震えてなかなか言うこと聞かないから、電話で会話することが増えた。

海斗は連休を取ったらしく俺の家に2日連続で来てる。笑手が動かしにくくなった俺の手助けをしてくれるんだ。手動かせなくなるとさ、ご飯を食べるにも一苦労なの。それで食べるのがめんどくさくてちょっと食べて終わりにしてたら胃が小さくなったみたいであんま食べれなくなった。

『お前最近まじ食わないじゃん。まじ細いよ。あ、肉食えよ肉。唐揚げ持ってくる』

｢いいよそんな｣

『俺がやだ！』

そう言ってさっさと唐揚げを口に突っ込んできた海斗。タジタジの俺見て笑ってんだけど悪魔じゃん。久しぶりにこんなに食べたって言うくらい食べた。まあ普通の人から見たら1食分なんだろうけど。

『そういえばさ、元太どっか行きたいとこある？車出すからどっか行こうぜ。あ、ディズニーとかは無しね。体調悪くなりそうだし』

｢えー、んー...この前旅行で行った田舎かな。｣

『あー。言うと思った。あの子に会いたいんでしょ。喧嘩した子』

｢うん。もう仲直りしたんだ。シンプルに会いたいなって。｣

『じゃあその、宮近先生？って人に聞いてOK貰ったら行こ』

｢うん。｣

また会えると思うともっとご飯食べたりこけた頬をもうちょっとプクッとさせなきゃとか思ってご飯が少し進む。わかりやすいって海斗に笑われちゃった。

ぎこちない動きで携帯を開く。電話ボタンを押して通話が繋がるのを待つ。緩む頬に待ち望む君の声。やっと君に会えるんだ。