【呪術廻戦】禪院家名物のファザコン末娘が癖強すぎる件3 (ページ6)

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「異議なーし」

「しゃけしゃけ」

「個人戦の組み合わせはくじ引きか？」

真希の言葉にAが何かを思いついたようにパチリと瞬きを繰り返し、悟を見つめた。するとその視線に気づいた悟がニヤッと悪い顔で笑い、首を振ってから口を開いた。

「悟くんがええ案持っとるみたいよ」

「そうそう、今年は個人戦やんないよ？」

悟の思いがけない言葉に、持ちかけた本人のAですらぽかんとした顔をして悟を見つめる。
全員が唖然とした顔をする中、悟はえ？と言いたげな顔をしてAを見て、その後同期達の顔を見つめる。

「ほら、僕ルーティン嫌いじゃん？」

「悟、君ってやつはね…」

「ほい、これ」

傑が頭を抱える中、悟だけが平然とした顔をして手に持っていた箱を虎杖に投げ渡した。
虎杖もそれを難なく受けとり、首を傾げながら見つめる。

「毎年この箱に勝負方法入れて当日開けんの」

ガサゴソ、虎杖が箱の中に手を突っ込んで一枚の紙切れを引き抜く。するとそこに書かれていた勝負方法を見て、虎杖が驚く…前にいつの間にか虎杖の横にいた楽巌寺と夜蛾が声を上げる。

「や…」

「野球ぅ〜〜？？」

「ええやん！青春やなぁ」

「どういう事だ夜蛾」

「いや、私は確かに個人戦と…待て悟!!」

夜蛾が個人戦の札を入れたのが事実だろうと嘘だろうと、決まってしまったものは仕方ない。なによりええなぁ野球。なんていいながら学生時代を思い出しているA、そしてそれを見て「まぁ野球もいいか」と思い始める京都校に、戦いで疲れたからスポーツもいいな、と思い始めた東京校。

また今回も五条悟の思いどおりになってしまったのである。

「えらい懐かしいなぁ、前甚爾くんも入れてやったよな？」

「あぁ、あの人数不足の…」

「まさか冥さんまでやってくれる思っとらんかったから、中々思い出に残っとるんやわぁ」

ふふ、と微笑んだA。果たしてそれは野球を思い出してなのか。旗また過去の想い人、“伏黒甚爾”の勇姿を思い出してしまっているのか…。それに気づけるのは同期と伏黒恵だけである。

「かっこよかったなあ、甚爾くん」

「お、野球やんのか？」

「ぎゃッ！！？」

「なんだ化け物でも見たような顔して。俺の事忘れてたんだろ」

「ちゃうわ！今までふらついとったん甚爾くんやろ…」

惚けた顔をして呟いた言葉を聞かれたのか否か、Aはドキドキとうるさい心臓を押えていきなり現れた甚爾を振り返った。