よかったな ページ40
.
「…また、なの…？」
またライナーを壁の中に？そう考えた瞬間、Aの顔が段々と青ざめていった。そして脳裏に4年前の真新しい記憶が蘇る。
ライナーは満身創痍だった、四肢は切断され、頭を吹っ飛ばされたのだろうか、眼や頭部の皮膚が完治しておらず、相変わらず無情に煙が発生するだけだった。
「駄目、絶対にダメ…！」
Aはドンッと立ち上がってネクタイをつかみ、勢いよく外して見せた。
「もう、ライナーを殺したくない…。」
資料をある程度まとめて手に持つとAは会議室を後にした。鍵は後に誰かが閉めるだろうと脳天気な考えを持ち、Aは自室に資料を投げ捨てて外に出た。
とは言っても、とAは辺りを見渡した。ライナーを探しに来たはずが姿は見当たらず、既に収容区内の病院までたどり着いてしまった。
すると視界の端に見なれた顔が入り、Aはそちらへと向かって行った
「あら…ファルコ、そちらの方は？」
「しっ、司令官！！お疲れ様です！
…こちらの方は負傷兵のクルーガーさんです。クルーガーさん、こちらマーレの最高司令官のAさんです」
Aはクルーガーと言われた男に向けて頭を軽く下げる
「よろしくお願いします、クルーガーさん…。ねぇ、つかぬ事をお伺いしますけど、…私たち、どこかであった事ない？」
「…さぁ、あんたと会ったのは今日が初めてだな、それに見た事のない顔だ。あんたみたいなやつなら1度会えば忘れないはずさ」
Aが不思議そうな顔をするとクルーガーは何かを考えるような顔をしてから口を開き、Aは更に不思議そうな顔で首を傾げ、クルーガーに手を差し出した。
「…そうよね、ごめんなさい。…それにしてもその足に目、…もう二度と戦争なんて行かなくていいから。ゆっくり体を労わってちょうだい」
Aは目を細めてクルーガーの足や顔を見つめ、少し頭を下げてクルーガーにそう言った。
クルーガーもその言葉に軽く頷き、翡翠色の瞳を誰にも分からない程微小に揺らしてから「アンタも」と呟いた
「……アンタも気をつけろよ、Aさん」
「えぇ、ありがとうクルーガーさん」
人から心配されるのは悪い気持ちにはならない。Aはそう思って少しだけ微笑み、Aには分からない懐かしさを感じて目を伏せた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Strawberry(プロフ) - ポルコ推しの方にそう言っていただけると安心です…！一応原作沿いになってしまいますが最後の最後までポルコは全開で行きますのでこれからもよろしくお願いします!! (2022年1月31日 22時) (
レス) id: ea9e40fa3e (このIDを非表示/違反報告)
紅月夜。(プロフ) - もうすっごく面白いです、！ポルコ推しなので出てくるたびにニコニコしてます。主ちゃん、ライナーと結ばれるのかなあ、ポルコは死んじゃうのかなあと色々考えながら読んでます笑、続きが楽しみです！！ (2022年1月31日 18時) (レス) @page42 id: bd5a9d7211 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Strawberry | 作成日時：2022年1月14日 17時
