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「え、宇髄さんに師範が?」
「…えぇ、ほとんどは姉から聞いた話ですがね」
しのぶさんはそう言って目を伏せた。姉、というのは蝶屋敷のカナエさんの事だろうか
カナエさんは少し前に上弦の弐と戦い柱を引退したそうだ、そしてそのカナエさんに良くしてくれていたのが、元音柱の宇髄さんの師範らしい。
「…騒がしい方でしたよ、全く」
「先代音柱様ですよね?そういえば俺、聞いたことがあるかも」
「ふふ、あの方随分と有名ですから、宇髄さんもあの方が大好きだったようで」
「へぇ…会ってみたいなぁ、しのぶさんがそんな顔をするんだ、きっといい人だったんだろうなぁ」
しのぶさんからは楽しそうな匂いと、少しだけ悲しそうな匂いがした。
「…そう、ね。あの人はとっても優しくて、とても、……ごめんなさい、なんて言ったらいいのかしら」
「いっいえ!俺の方こそ、…辛いことを聞いてすみません…」
「いいのよ気にしなくて、…あの人のことを知ってもらえるのは私も嬉しいわ。そうねぇ…まず、宇髄くんの師範だと言うのは聞いた?」
「えぇ!しのぶさんに。カナエさんの方がよく知っていると聞いたので…つい気になってしまって…」
カナエさんは少しだけ嬉しそうに、哀しそうに笑って俺の頭を撫でた。
そしてゆっくり、ゆっくりと口を開いて呟いた。
「…優しくて、かっこよくて…まるで物語の主人公みたいな…そんな人だったわ」
「…そう、なんですか」
カナエさんから嘘の匂いはしない、本気でそんな人だったのだろう。
「鬼殺隊みんなの憧れで、継子になりたい子だって沢山居たわ…でも、二年前のある任務で」
「…まさか」
「……上弦の壱と、遭遇してしまってね。」
カナエさんは困ったように笑い、目を細めさせて俺を見つめていた。その瞳に涙の膜が張って、まずいと思った時には決壊していた。
カナエさんはそのままボロボロと涙を流し、ごめんなさい。と小さく謝った。
「俺の方こそすみません!!こんなこと…」
「…貴方とは、仲良くなれたと思うわ」
彼女、貴方みたいな真っ直ぐな目をした子が好きだったから。カナエさんがそういった時、大きな音を立てて扉が開いた。
「お前か!師範のお気に入り泣かせてんのは!」
「ぇっ、宇髄さん!!!」
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パンナコッタ - すごく続きが気になります!更新頑張ってください! (5月15日 2時) (レス) @page5 id: 3cc5d637ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Strawberry | 作成日時:2023年4月26日 22時