本気じゃなかった ページ8
最近んぴ学 しか 書いてないよ！！？
◇
「いい加減しつけぇぞ！からかうのも程々にしねぇか！！」
少しだけストレスが溜まっていた、言い訳をするならそれだけだ。
スパンダムが口から出た言葉にハッと我に返ったときには、もう既に手遅れで。
「ぁ……嘘じゃ、……せんせい」
「あっ、ちが、待て」
ごめんなさい、とだけ言ってAは生徒会室を後にした。スパンダムは勢いよく立ち上がったと言うのに、Aを追いかけることもせずにもう一度椅子に座り直し、深く息を吐いた。
「……クソっ…泣いてたな」
そう、泣いていた。あんな顔をさせたのは初めてだし、見たのも初めてだった。こんなのルッチに知られたら殺されるじゃないか、とスパンダムはあたまをガシガシと掻き回した。
しかし今更追いかけたところでAに追いつくことは不可能であるし、向こうもそれを望んでいないだろう
はぁ、と大きなため息をついた瞬間、それよりも大きな音を立てて生徒会室の扉がこじ開けられた。
「先生、少々お話よろしいでしょうか」
「…………はい」
「言いたいことはわかりますね？」
ルッチ、苗字はロブ、新セカ中の現生徒会長である。それだけ聞けばただの優良生徒ではあるが、そこに付け加えるべき情報がある。
まず第一に、姉にAを持つこと、そしてそれに加え引くほどのシスコンであるということ。
しかしそれだけなら恐怖にはなるまい、なぜスパンダムがこんなにビビり散らかしているのか、それはルッチが六式を極めた超人だからである。
それに今回の件は言い訳もできない、スパンダムは大人しく痛めつけられる覚悟で頷いた。
「…その、疲れていてつい…」
「姉さんはな」
「……」
「姉さんは、学校外でも忙しいんだ、家には親がいない、その分姉さんが金のやりくりをして、家事をして、たかが一歳違いだと言うのに、幼い頃から俺の面倒を見させられてきた。」
ルッチは珍しく、暴力ではなく口で戦うことにしたようだ。そしてその家庭事情は先生であるスパンダムはもちろんのこと知っている。
だが知っていると言えど両親が他界しているという件だけだ、それ以外は初耳である。
「高校受験も控えているだろうに、毎朝弁当を作って、可愛らしく髪を結い上げ、雑誌とにらめっこしている」
「……」
「アンタに、一言可愛いと言ってもらうためだけに、ありがとうを貰うためだけに姉さんはこう生きている」
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作者名：Strawberry | 作成日時：2023年3月29日 16時
