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◇
なんじゃ強情じゃのぉ〜、とカクがケンカを終わらせて席に着き、ジャブラもふんっ、と鼻を鳴らしながら席に腰かけた。
場所はチャッカリとAの隣である。しかしまぁ片目がほぼ見えないAはその方向に信用できる男がいるのは心強いので何も言わなかった。
「次は私ね」
「カリファ、私の分もがんばって！」
お姉様…！と言いもしない幻聴が全員の耳に聞こえた瞬間、ボールの転がった先で派手な爆発音が鳴り響いた。
せっかく物を壊さないようにしていたというのに、お姉様からの「がんばって♡」にカリファは負けてしまったのだ。
しかしまぁこの街ももう少しで出ていく身だ。ルッチ達は何ら気にせずケタケタと笑っていた。
勝手にレーンを変え、よし次だとジャブラが立ち上がった瞬間にブルーノが後ろから聞こえた騒ぎにぴくりと聞き耳を立てる。
「…随分騒がしいな」
「ケッ、こんなとこまで事件か？」
「物騒な世の中になったわね」
ジャブラがAの肩に腕を回しながら腰掛け直し、Aもそれを受け入れながら視線を後ろの市民と警官へ向けた。
自分たちを追ってきたのかと思いきやこちらを見る素振りもないあたり違うらしい。ちょっとした騒ぎにしては大きすぎるざわつきにA達は顔を見合わせる。
「…ま、命を救ってもらってるものね」
「姉さんはあまり動かないでくれよ」
「しっかり見張っとくんじゃぞ〜ジャブラ！」
「俺ァこいつの世話係じゃねぇって！！」
「あら、世話される気は毛頭ないわよ」
グルル、と隣に立つ女の喉から獣の声がした。ジャブラは眉間に皺を寄せてAの横顔を上から睨みつけた。
しかしAは表情一つ変えずにジャブラを見返すだけ。
「治ったからね」
「嘘も方便とはよく言ったもんだぜ」
「随分難しい言葉を知ってるわね？バカのくせに」
「あ？」
ジャブラとA、味方同士の間に火花が飛びそうになったその瞬間、二人に向かって海賊のひとりが斬りかかってきたではないか！Aもジャブラも、幼い頃から一緒に育ったという事実を彷彿とさせる顔で笑い、同時に拳をかまえて解き放った。
「今のは私の取り分」
「はぁ！？俺のに決まってんだ狼牙！！」
「何言ってるのよ、…まあいいわ！今から勝負ね！」
よーいドンの合図もなしに駆け出したAを一歩遅れてジャブラが追いかけた。
その額には怒りからか青筋が浮かんでいて、眉もつり上がっている。しかしその顔はどこか楽しそうで、Aの名を叫びながらも辺りの海賊を蹴散らして行った。
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作者名：Strawberry | 作成日時：2023年3月12日 0時
