任務外報告3 ページ3
◇
「やんのか？」
「…やめとくわ、今はあなたに勝てる自信ないし」
「お？負け無しの唯我独尊女が弱音か？」
「うっさいわね！まだ平衡感覚ないんだから仕方ないでしょう！」
あ、とAが口を封じた時には時すでに遅し。カクがとんでもない勢いで反応し、Aに詰め寄って肩を掴んだ。
「待たんか、お主問題ないと言っとったな？」
「ほ、ほんとよ？本当に問題ないもの。これも些細なことよ」
「最近妙によくぶつけてると思っとったが…これはいかんのぉ…」
ひょいっ、とカクがAの体を横抱きにしてにしし、と歯を見せて笑った。Aは恥ずかしそうに耳を赤く染めて「ちょっと」とカクを傷つけない程度に優しく抵抗し始める。
「ワシに嘘ついた罰じゃ！」
「そっ、それは謝るから！」
「姉さん」
ルッチの真剣すぎる声にAはカクの腕の中を動き回るのを辞めた。姉というのは愛する弟の真剣な眼差しにめっぽう弱いものなのだ。
「ま、Aもまだ回復してねぇんだ、今のうちに遊び倒すか！」
「チャパパー！それは良い案なのだ！」
「ぁ最近はァ休暇どころじゃぁなかったからぁ〜なぁ！」
…といったは言いものの、どこで遊ぶか、どこではっちゃけるか？という疑問に行き当たったその時、カリファの視界にある店が止まった。
ボーリングはどう？とカリファが店をさしながら笑い、全員が顔を見合せ、こくりと大きく頷いた。
「お〜！見たかA！ストライクじゃ！」
「うんうん、カクは相変わらず運動神経がいいのね」
「あ？調子乗ってるなよクソガキ」
「お〜ん？喧嘩なら買うぞジャブラ！」
なんて言いながら別のことで盛り上がり出す二人を他所に今度はルッチが玉を抱えて走り出した。Aにいい所を見せたいんだかなんなのだか、結果はもちろんストライクだ。
なんならボーリングのピンを粉砕する勢いで。
しかし、それはもう弟が可愛くて仕方のないAはぱちぱちと手を叩いてルッチを褒め回した。
「凄いわルッチ！いつの間にボーリングまで？」
「俺は姉さんの弟だからな、それくらい造作もない」
「あ〜！ルッチが抜け駆けしとる！いいのかジャブラ！？」
「俺ァあの女に褒められたいわけじゃねぇよ！！」
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作者名：Strawberry | 作成日時：2023年3月12日 0時
