任務外報告 ページ31
◇
「あー…どうすっか、コイツら」
「ッお姉さま、お姉さま！」
「…最初は起きていたんだが、少し前に気を失って」
「ルッチもこうとなるとまずいな…」
ハァ、とため息をついたジャブラ、比較的無事なメンバーがルッチとAを見つめる。
しかし普段なら微笑み返してくれるAは居ないし、うっとおしそうに眉間に皺を寄せる生意気なロブ・ルッチも存在していなかった。
ただ息をしているだけのふたりが、そこに。
「CP9を探せ！！」
「まだそう遠くには行ってないはずだ！」
そんな声が聞こえ、ジャブラ達は物陰に姿を隠す。カリファが即座にAの体を抱き上げて近くに抱き寄せた。
全員が心の中で大きく舌打ちをする、我らがリーダーたちがこんなふうになってると言うのに、あのバカ上官が元CP9に全ての罪を被せたのである。
「よよい、Aまでこうとなっちゃあもうここにいられねぇ！」
「……ひとまず逃げるしかないな」
「カリファ、お前はこれ着とけ」
バサッとジャブラがカリファに上着をかけ、カリファは大人しく頷くとAをフクロウに預け、ジャブラの上着に袖を通した。
とはいえAだって獣人化したせいで服はボロボロ、下着が辛うじて引っかかってる感じだ。
「あー…そっちのバカ猫は」
「ワシの上着でいいじゃろ、被せてやってくれ」
そう言ってカクが軋む体を動かしてフクロウに上着を渡す、フクロウも大人しく頷き、Aの体にカクの上着を巻き付けてやった。
今は世界政府と戦っている力や時間は無い、このまま放って置けばルッチもAもタダじゃ済まないだろう。
ジャブラがカクを背負い、クマドリがルッチを肩に担ぎ、フクロウはAを横抱きにして歩き出した。
「……安全な逃走経路なら海列車の線路を行くといい、政府もそこまでは嗅ぎつけんはずじゃ」
「そーいやお前はウォーターセブンで働いてたんだったか」
カクの指さす先にジャブラが先導して歩き出す。やはりAの意識も、ルッチの意識も戻りそうになかった。
カリファが心配そうにチラチラとAを振り返る
「チャパパー、Aは意外と丈夫だから大丈夫なんだナー」
「……そうかも、しれないけど」
「どっちかと言うとあの馬鹿上官に切り捨てられたって方が堪えそうだな、Aは」
カリファはその言葉に目を覚ました時のAのことを想像し、そうかも。と頷いて肩から力を抜いて笑った
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作者名：Strawberry | 作成日時：2023年1月16日 0時
