心許してるだけ ページ30
◇
「……おい、おいこらアホ猫」
「にゃあ」
「気色悪い声出すな、何してんだよお前」
「何って？幼なじみと日向ぼっこしてるんじゃない、見ればわかるでしょ？」
「だからってそっちの姿じゃなくても良いだ狼牙！すっぽんぽんの自覚あんのか！？」
「だってジャブラだもの、元に戻らなければいい話だし。」
そうとだけ言って真っ白な毛並みの大型猫はするりと俺の腕の下に潜り込み、グルグルと喉を鳴らしながら目を閉じた。
くそ、こんなとこルッチに見られたらどうなることか。明らかに面倒くさい未来が待っていることを考え、そしてやめた。まぁこいつの毛並みは悪くないし、枕にするにもちょうどいいサイズだ。
獣人化する前はあんなに小さいのに、獣になるだけでどうしてこうも大きくなるのか、それは未だに謎のままだった。
「……あﾞーー…いい天気」
「おっさんクサ」
「起きてんのかよ！寝ろ！枕が動くんじゃねぇ！」
げし、と勢いよくケツの当たりをぶっ叩くとAは不機嫌そうにシッポをゆっくりと左右に揺らし、俺を睨みつけてきた。
しかしまぁ勝手に俺の懐に入り込んだのはお前だ、俺が快適な睡眠を遂げるまでは付き合ってもらおうじゃないか。
「アンタが珍しく疲れた顔してたから構ってあげてるのに」
「要らぬ世話焼くな…まぁ、お前の体温は悪くねぇが…」
「でしょう？私も昔2人で寝たのを思い出して結構すきよ」
「……それ、頼むから他人に言うな、本当に」
「え？ルッチたちにはもう言ったけど」
「最悪だー！！！！テメェ俺の苦労考えてから発言しろって毎回言ってるだ狼牙！！」
ルッチからの殺気がこもった視線を感じる気がしてきた、あいつ今任務でいないのに。
というかAもそれをわかってここへ来たのだろう、甘えん坊の最年少も今日は非番でいない訳てあるし。
「……ま、お前の毛触りもたまには悪くねぇな。」
「でしょう？次はジャブラが私の枕になってね」
「気が向いたらな」
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作者名：Strawberry | 作成日時：2023年1月16日 0時
