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「……勝手に死んだことにするんじゃねぇよ、クソガキ」
「…えぇ、あなたを最後まで信じられなかった。どうか許してください」

そう言ってAはスパンダムの目を見つめる。縋るような瞳で見つめられたスパンダムはチッ、と舌打ちをして居心地が悪そうに頭を搔くとAの頬に手を寄せた。

「私が不甲斐ないばかりに、貴方を傷つけてしまいました。」
「お前は悪くない」
「私のせいです、だから」

もうあなたのそばには、そう言いかけてAが顔を上げた瞬間、Aの目の前が愛しくてたまらない紫色に包まれた。
Aは大人しく目を閉じ、スパンダムの背中に手を回す。それがわかったのか、スパンダムはAの頭を優しく撫でながら少しして顔を離した。

「……落ち着いたか?」
「えぇ、…すこし悲観的になりすぎました。まずはあなたをこんなふう(・・・・・)にしたバカを吊るし上げなくては」
「その件ならもう既にルッチ達が目星をつけてるそうだ、良かったな」
「ふふ、良い弟たちを持ちました。」

Aはそう言ってふっと笑う、スパンダムはそれを上から見つめて眉を下げた。

「……お前が出ていったと聞いて正直指がないのに気づいた時より焦った」
「あら、心配までかけてしまいましたか」
「だからもう、俺を置いて行くな」
「それはこちらのセリフです、スパンダムさん」

そう言い返すAは普段喧嘩をする時のような、あの目つきではなく何か愛しいものを見る目をしていてスパンダムはバツが悪そうに目を逸らした。
すると突然Aがドアの方を向き、眉間に皺を寄せる。

「あら?随分と大きな野良犬が紛れ込んだみたいね」
「気づいてたんなら早く言えや!!感動の再会は済んだな?とっとと戻るぞ、仕事も引き継ぎも大量に残ってるからな」

ドアから屈んで入ってきたのはことの一部始終を見ていたジャブラだった。Aの無事に喜んでいるんだか、夫婦の惚気を見せられてうんざりしているのか、その表情はあべこべだった。

「分かってる、行きましょうスパンダムさん」
「俺は先いくからな」
「うん、ルッチ達にも伝えておいて」

Aがそうとだけ言うとジャブラはそのまま家を出ていった。本部からそう遠くない山奥だ、月歩でも使って戻るのだろう。
Aはスパンダムを振り向き、私達も行きましょう。と告げる

「え?どうやって……」
「久しぶりで忘れました?」
「…いや、思い出したわ。」

Aはメキメキと姿を変え、先程まで女のいた場所には凛々しい白虎が佇んでいた。
スパンダムは毎度の事ながらその美しさに見惚れ、ごく、と息を呑んだ。

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作者名:Strawberry | 作成日時:2023年1月16日 0時

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