【onepiece】俺の姉がろくでもない男と結婚した話 (ページ14)

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かわいいページ14

◇

「あの、長官」
「あー？…だからよぉ、もう長官って呼ぶなっ…て…」
「今夜、何時頃お戻りになりますか……？」

くい、と袖を引かれて振り返れば少ししたの視界に映る妻の姿。ふさふさに伸びた黒いまつ毛を伏せて耳を真っ赤にさせならが口をモゴモゴと動かしている。

「かッ…！！」
「か…？」
「………すぐに帰るから、待っててくれ」

落ち着け、落ち着けスパンダム！お前はそういうキャラじゃない！だろ！？と自身の中で何かと戦うスパンダムは自分で自分の腿をつねりながらもう一度Aに目を向けた。

「かッ…！！」
「…？アナタ？」
「…なんでもない、とにかく待っとけ、俺だって寂しいんだ」

下を向けば今度は嬉しそうに花を咲かせるAの姿。元々スパンダムは動物が好きだ、Aなんか身を食べる前からまるで猫のようでお気に入りだったのだ、それがネコネコの実を食べて本物になっているわけだ。
なんなら嬉しくてたったままのしっぽが見える気がする。

「ふふ、私も寂しいです。同じですね」
「ぐッ…はぁ…」
「えっ、スパンダムさん！？」
「お前、さすがは道力5000超えだな…」
「2年前から測ってませんからね、私はもっともっと強いです」

ふんふん、と胸を張るように言ったA。スパンダムは今度こそ苦しそうに眉間に皺を寄せ、1歩後ろに後ずさって心臓を押えてしまった。

「(俺を一体どうしたいんだコイツ！？殺したいのか！？これがルッチのよく言う尊死か？！)」

そう、ルッチは基本冷静沈着で冷徹な一面を持つ男であるが姉のこととなると話は別だった。
それはまさに現代世界で言う限界オタクだ。昔はカルガモのようで可愛かったのに、と何度スパンダムは考えたことだろうか。
今ではもう過保護の領域を超越してしまっている。

”「ぐッ！！姉さん！一体俺をどうしたいんだ！？殺したいのか！？尊死させたいのか！？」”
”「とう……？ち、ちがうわよ、だから映像電伝虫の使い方について説明してるんじゃない！」”
”「ふぅ、……一旦落ち着こう、姉さんは正しいよ」”
”「も、もう！あんまりからかわないでルッチ！私が持つといつもそのまま寝ちゃうのよ！」”
”「姉さんかわいい…」”
”「もー！起きてちょうだい！」”

もう散々だろう、殺戮兵器の名が既に泣いている気がしてならない。
だから社交の場にルッチとAを送り込むことはつまり任務の失敗を意味することになるのだ。
ガレーラでもいつも一緒にいたと聞くし、何時になれば姉離れするのだろうか。