第佰参拾陸話:狛治と言う男 ページ9
恋雪は顔を可愛らしく赤く染めていた、俺もなんだか恥ずかしくなり顔を赤くしてしまう
罪人の入れ墨が入っている自分の未来なんて上手く想像できなかった、ましてや誰かがそんな自分を好いてくれる未来なんて尚更
もしかしたら俺は親父が言ったようにこれから真っ当な生き方ができるのか?
人生をやり直せるかもしれないという淡い期待が収拾もつかない程大きく膨らんで
この時の俺は、命に代えても守りたいと思ったふたりが毒殺されるなど夢にも思わなかった。
墓参りに行ってたんだ、親父の。祝言をあげるって報告したくて、
日が暮れる前には道場に戻ったのに____。
聞く前から吐きそうだった、横隔膜が痙攣して嫌な予感に鳥肌が立っていた。
「__誰かが井戸に毒を入れた…!慶蔵さんやお前とは直接やっても勝てないからってあいつら酷い真似を
惨たらしい、あんまりだ…!恋雪ちゃんまで殺された!!」
俺は大事な人間が危機に見舞われている時いつも傍に居ない、
約束、したのに…。
「……本当に俺でいいんですか?」
「子供の頃、花火を見に行く話をしたの覚えていますか?」
俺はその突然のセリフに驚きそのことを思い出す
その前に恋雪は口を開く
「狛治さんとの些細なお話で私、嬉しい事が沢山ありました。
今年花火を見れなかったとしても来年……再来年見に行けばいいって言ってくれた
私は来年も再来年も生きている自分の未来が上手く想像出来ませんでした。
母もそうだった…だから私が死ぬのを見たくなくて自害したんですきっと。
父も心のどこかで諦めているのがわかっていました。
私があまりにも弱すぎて。だけど狛治さんには私の未来が見えていた、当たり前の事のように来年再来年の話をしてくれたんです。
嬉しかった、…私は狛治さんがいいんです。私と夫婦になってくれますか?」
恋雪に手を弱々しく掴まれる、俺はその手を力強く握り返して口を開く。
「はい、俺は誰よりも強くなって一生あなたを守ります。」
結局口先ばかりで何一つ成し遂げられなかった。
鬼になって記憶を無くし、俺はまた強さを求めた。
守りたかったものはもう何一つ残っていないというのに、家族を失った世界で生きていたかった訳でもないくせに百年以上無意味な殺戮を繰り返し
何ともまぁ惨めで、滑稽で、つまらない話だ。
417人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まゆゆ - ほんとに好きなな作品です!応援しています! (2021年1月23日 4時) (レス) id: b7969430ca (このIDを非表示/違反報告)
えみぃ - 面白いですね (2020年11月2日 19時) (レス) id: 742aa17169 (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - めちゃ好きです!もう継国兄弟最高!こんな作品を作ってくれてありがとうございます。これからも頑張って更新してください! (2020年10月25日 22時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - めっちゃ好きです!更新待ってます! (2020年10月17日 14時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 更新待ってます(●´ω`●) (2020年9月20日 11時) (レス) id: 57de6b4ac5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Strawberry | 作成日時:2020年4月7日 3時