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第佰肆拾弐話:泣顔 ページ41

巌勝 side and narration






「…死にたく、ないよ……!


2人を見届けたいよ……!」







姉はごめんね、とつぶやく声を止めて。
潰れてしまいそうな声でそう呟いた、その初めて聞いた姉の弱音を、私は…私たちは絶対に忘れることは無い。








姉はそれから、徐々に弱り、笑顔は引き攣り食がかなり細くなった。
もとから無かった肉が急激に減り、見るに耐えぬほどガリガリになっていった。





いつもの姉ならば



何度そう願ったのかはもう数えるのはやめていた。
まさか2度も体験するなんて思っちゃいなかったが。









そして、巌勝の最大の分岐点であった…【鬼舞辻無惨】との出会い。
姉を殺された事実を知ってか知らずか、




鬼舞辻無惨という男は、人間の弱さに漬け込むことに深けた鬼であった
姉が倒れ、弟の実力差に負かされ、あざに悩まされた巌勝が鬼舞辻無惨の手を取らない道はきっとなかったのだろう。





Aが倒れた数ヶ月後、巌勝は鬼となり。
間接的に実の姉であるAを殺してしまった。









その時の巌勝の頭ではそこまで脳が回らなかった、と言った方がきっと正しいだろうか。
老いた縁壱との戦いで…改めて巌勝は事実を聞いたのだから。









「お労しや、兄上。

……兄上、私はあなたを敬愛している…それと共に酷く軽蔑している。






あなたが…あなたが鬼になったことで…




姉上は腹を切って死にました。私は”また”助けられたんです。」







縁壱は今まで聞かせたことの無いような低い声で巌勝へ語りかけた









「…いざ」






巌勝はその言葉に眉をしかめ、刀を構えた。
縁壱は老いた体でも巌勝にまるで疾風のように斬りかかり、首を浅く切った




巌勝は目を見開き、直ぐにそのまま縁壱へ向き直る。
しかし縁壱はそのまま、立ったままで命を散らせていた。
立った姿勢のままで絶命していたのであった。
巌勝はその事実に酷く腹が立ち、死体となった縁壱の体を斬った



その時、ふたつに切れた縁壱のからだから真っ二つに切れた笛、そして紐が切れてしまい錆びた鈴の着いている腕飾りが入っていた。




それを目にした巌勝の瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちる





(もうやめろ、やめてくれ)









(俺はお前が嫌いだ。)









(あの日、姉上のことだって忘れたはずなんだ)









(もうやめてくれ。)

第佰肆拾参話:記憶→←第佰肆拾壱話:絶望



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まゆゆ - ほんとに好きなな作品です!応援しています! (2021年1月23日 4時) (レス) id: b7969430ca (このIDを非表示/違反報告)
えみぃ - 面白いですね (2020年11月2日 19時) (レス) id: 742aa17169 (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - めちゃ好きです!もう継国兄弟最高!こんな作品を作ってくれてありがとうございます。これからも頑張って更新してください! (2020年10月25日 22時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - めっちゃ好きです!更新待ってます! (2020年10月17日 14時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
- 更新待ってます(●´ω`●) (2020年9月20日 11時) (レス) id: 57de6b4ac5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Strawberry | 作成日時:2020年4月7日 3時

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