検索窓
今日:19 hit、昨日:1 hit、合計:139,262 hit

継国物語:縁壱 ページ35

そしてあっという間に二年の時間が過ぎ、私が巌勝に剣技を教えてもいい年になってしまった
正直厳しいことはしたくなかったしきけんにさらされるのは私だけでいいと感じていたから尚更だ




そんなある日、休憩をしている途中に巌勝がふっ、とどこかを見つめる
その目線をおうとその先には縁壱が母様の《左半身を庇う》ように歩いている様であった

私は近寄れないが母様は左半身を悪くしているのである。
なんと私の不甲斐ないことか。





「…会いたい?」



「い、いえ…でも少し…可哀想だな、と

あんな部屋に一人では寂しくはないでしょうか?」


「確かに…!そうだ!じゃあ私達が寂しくないように会いに行っちゃいましょうか?

父様には内緒で。」




そう告げてみると巌勝は思ったより嬉しそうな顔で頷いてくれる
私と巌勝はイタズラを思いついた子供のようにほくそ笑んでその日の訓練をさっさと終わらせた




「…!まずい…父様だ…」




縁壱のいる部屋へ向かう途中にちょうど父様と遭遇してしまった
父様は私たちの向かう先を察したらしくすぐさま顔を真っ赤にして巌勝へと手を振りあげた



「あそこへは近づくな!!」



「巌勝っ…!」



寸の所で巌勝と父様の間に入り込み私の頬に赤紫のあとが出来上がった
私は父様に目は向けず口を開き、謝罪の言葉を一言



「…申し訳ありません。しかし私が言い出したことです。巌勝は関係ありませぬ」



「これに懲りたらもう近づこうとするなよ…」

父様はこちらを睨んでそのまま踵を返していかれた
すると巌勝が焦って私の顔を覗き込んできた



「姉上!ごめんなさい私のせいで…!」


「いいのよ、あなたの姉上なんだから守って当然でしょう」


にこり、と笑って私は巌勝の頭を優しく撫でる
そして口角を上げ、巌勝にひとつ提案をして見せた




「ねぇ、私は父様の言葉にこりる気はないの。

例え忌み子であろうとあの子も私の《弟》なのだから。


…でね、あの子は耳が聞こえないって言われているじゃない?だから音を出して知らせられるものがあったらいいんじゃないかなって…それに私達の持ち物は渡せないから作ろうと思って。


…どうかな?」



私が首を傾げると少し難しい顔をした巌勝もスグに明るい顔になって頷き
いい案ですね。と笑ってくれる


私たちはその後地道に作成を続け、その間にも縁壱との交流をしていた






そうして巌勝が作り上げたのが《笛》


私がつくりあげたのが《鈴》である。

継国物語:縁壱→←継国物語:誕生



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (157 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
417人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まゆゆ - ほんとに好きなな作品です!応援しています! (2021年1月23日 4時) (レス) id: b7969430ca (このIDを非表示/違反報告)
えみぃ - 面白いですね (2020年11月2日 19時) (レス) id: 742aa17169 (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - めちゃ好きです!もう継国兄弟最高!こんな作品を作ってくれてありがとうございます。これからも頑張って更新してください! (2020年10月25日 22時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - めっちゃ好きです!更新待ってます! (2020年10月17日 14時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
- 更新待ってます(●´ω`●) (2020年9月20日 11時) (レス) id: 57de6b4ac5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Strawberry | 作成日時:2020年4月7日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。