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どうしてこうなったのか。あぁ、私のせいか。
「A、AA、大好きだよ、ふふ、だぁい好き」
私を後ろから抱き締めて、首筋に顔を埋める私の婚約者。意味不明だ。
奴が私に望んだ事、それは「Aと結婚して死ぬまで一緒にいて、来世でも夫婦になりたい」理解不能である。天下の東大生でも解けない難問である。そんな難問、私が分かるわけ無い。
ずっとずっと私達は幼馴染みであったはずなのに。
そんな私の気持ちを見透かしているのか、奴は不敵に笑うだけ。そんな顔、見た事ない。全部全部、知っていたつもりだったのに。
あれ?この気持ちは、何?
「ねぇA、Aは僕がAに片思いしてると思ってるの?ふふ、本当に可愛いなぁ」
奴は囁く。奴の息が悪戯に私の首筋にあたって、身震いした。
「Aだって僕の事、大好きなのにね」
瞬間、私は奴の身体から抜け出した。その時の私の顔はそうとう酷かったのだろう。奴にクスリと笑われた。
「今更自覚したんだね。…本当に遅すぎ。僕がどれだけ待ってたか知ってる?こーんなに可愛いAを食べずに良い子で見守ってたんだよ?」
そんな、筈があるわけ、ない。
「やめてよ」
ぽろりと、少しの不信感が口から出た。ぬるま湯の様に不確かだった感情は、言葉にすれば本心の様になってしまって、私はどうすることも出来ず、自分の力に流されるみたいに、さらさらと言った。
「あんたが私を好きだからそうやって勝手に解釈してるんでしょ!?私はあんたの事が昔から大嫌いなの!!!いつだって私はあんたのおまけだった!あんたが近くに居るから私には価値があるって、私自身にはなんの価値も無いって思い知らされたの!!!もう、これ以上あんたといて惨めな思いはしたくないの…あんたは自分より劣ってる欠陥人間と比べられて、幸せでしょうね!!!!それを恋だと勘違いしてたんだわ。もう、これ以上私に近寄らないで」
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薔薇(プロフ) - るしふぁーさん» コメントありがとうございます!!そうゆう楽しみ方もアリですねww喜んで頂けて本当に嬉しいです!! (2020年5月17日 14時) (レス) id: 917336ebd6 (このIDを非表示/違反報告)
るしふぁー(プロフ) - 推しの名前でやったらうっひゃあああってなりました (2020年5月17日 2時) (レス) id: ce6d783c61 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇(プロフ) - 日名無 りんさん» コメントありがとうございます!!刺さる人には刺さる小説を目指して書いたので、とても嬉しいです!!! (2020年4月28日 7時) (レス) id: 917336ebd6 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - ドストライクです!文章も読みやすくて最高でした! (2020年4月27日 12時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇(プロフ) - けいこさん» ありがとうございます!!! (2020年4月25日 17時) (レス) id: 917336ebd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:薔薇 | 作成日時:2020年1月22日 20時