懐かしい話 ページ4
「彼が新しいみーちゃんの彼氏?」
「そ!」
高校の時に出来た彼女の友人。黒髪癖っ毛のボブカットにまんまるな目。この学校の人間なら一度は名前を聞いたことがある逆崎Aとの出会いは彼女の紹介だった。
「小柳津てつやです」
「逆崎です。逆崎A。も〜、みーちゃんまで彼氏もちかあ」
「寂しいやん」と肩をすくめるAにひどく目を奪われたのを覚えている。
「Aいつまで彼氏つくんないの?」
「つくんないんじなくて出来ねーんだわ!」
ガオッ、と吠える子犬のよう。そんなAに次に合ったのは、悲しくも彼女に振られた翌日だった。
「あ」
「あ」
自販機でばったり。どれくらいの期間で俺が彼女と別れるか、などと不本意なかけをしていた友人達に頼まれたジュースを両手に抱えているときだった。
「あーと、小柳津君だ」
じっと俺を見つめたあと、はっとした表情で彼女は俺の名前を呼ぶ。ヘラりと笑った彼女に「久しぶり」と返した。
「みーちゃんと別れたんでしょ?」
「いや……、うん、そう」
「そっか」
彼女はそれ以上何も言わずに自販機に小銭を入れる。「理由、とか聞いた?」
「うん。でも私から小柳津君にかけられる言葉はないかなあ。私は君にとっては他人だし」
ガコン、とジュースの落ちる音。「慰めたり、とかしてくれんの?」彼女が横目で俺を見た。「小柳津君は悪くないよって?」彼女はジュースを二つ拾って、その一つを俺に差し出す。
「他人から言われても腹立つと思って。だからこれあげる」
「え。でもそれ逆崎さんの」
「いやいや、それなら一本でいいし。君がいたから、二本分お金いれたの。あっ、でもそれじゃ持てないやんね」
彼女はしばし黙ったあと、俺の腕の中から数本ジュースを取り出す。「手伝う」
「え!いや、悪いってそれは!」
「平気だって。人気者の小柳津君の隣歩くのめっちゃ怖いけどね」
「てか小柳津君は友達の元カレになんのかあ。ヤバイなあこの状況」ケラケラと彼女は笑って、スタスタと歩きだした。
「……気まずい?」
「んー、別に。みーちゃんの人間関係と私の人間関係は関係ないでしょ?」
そこから何を話したのかは覚えていない。ただ教室に戻った時、かけをした友人らにAとの関係を問い詰められたことはよく覚えている。「今度は逆崎さん?」
「いや、逆崎さんはヒーロー」
友人らは皆揃って頭にハテナを浮かべていた。
【検証】ヒーローは本当にヒーロー!?→←とにかく自慢しまくれ!自分プレゼン大会!!!
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える(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» ありがとうございます!不定期な更新でしたが読了してくださりありがとうございました(*^^*) (2020年6月7日 10時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後のところ、鳥肌が立ってしまいました…素敵な作品をありがとうございました! (2020年6月7日 1時) (レス) id: 534e341e06 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - らぁさん» ありがとうございます!ぜひまたお暇な時に読み返してください(*^^*)伏線や会話の回収などもありますので、いつでも彼らの物語を覗きにきてください! (2020年6月6日 14時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - BlueMoonさん» コメントありがとうございます!嬉しいかぎりです……!最後まで読んでくださりありがとうございました! (2020年6月6日 14時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
らぁ(プロフ) - とても素敵な物語でした!読み進めていくたびに引き込まれてました。また読み返したいと思う作品です。完結お疲れ様でした! (2020年6月6日 0時) (レス) id: 2e4cb704c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:える | 作成日時:2020年1月5日 15時