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「今日体育バレー!?ほんまに?やったー!」
体育が嫌いな私がここまで騒ぐのは珍しい。バレーボールが特別うまい訳ではないけれど、他の競技に比べたやるのが楽しくて好き。
体育は隣のクラスと合同で、女子は女子、男子は男子で体育館を半分にして行う。
今日から暫く体育はバレーらしく、柄にもなく騒ぐ。「Aちゃんと葉月ちゃんチーム一緒に組もうやー」とチームに誘われ、案外サクッとチームわけはすんだ。
「Aちゃんバレーボール経験者やったっけ?」
「小学校まではやっとったよ。そっからは全然やから期待せんとってな。でもやる気だけはあるで!」
やる気だけは。自他共に認めるザ平均な運動能力の私は、任せろなんてかっこいい台詞は言えない。
「へえ。逆崎バレー好きなん?」
ニコニコと笑う(朝の不機嫌はどこへいったのか)宮君に後ろからそう声をかけられる。「好きやで。特別うまくはないけど」と答えれば、彼は満足そうに「ほーん」と口にした。
「ほんなら逆崎、俺あっちのBチームやから、試合出ん間ちゃあんと見とってや?」
「なんで?」
ドンッとはーちゃんが後ろから私を小突く。「痛いわ」と睨めばはーちゃんは顔を青くしていた。
「いや、はーちゃんごめん。そんな怖がらせるつもりは「逆崎」なんや、宮君」
「俺はお前のことが好きやねん、愛してる。片想い歴1年や。俺はずっとお前にええ顔してきた。でも今朝お前驚かんかったよな?てことは口悪くて性格悪い俺でも受け止めてくれるってことやろ?」
「え、はあ?」
大きな手で頭を掴まれる。ゆっくりと頭を撫でられて、それからグッと顔が近づけられた。
「こんなに優男な宮君演じてんのにお前ときたら気づかへんねんもん。もう遠慮すんのやめたわ。覚悟しとき、"Aちゃん"。これは告白やなくて宣言や」
絶対俺んこと好きにさせたる──
パッと離れたときにはいつもの宮君で、その顔にはいつもと同じような笑顔が浮かんでいる。
「優しくて賢いAちゃんは、こんな俺も嫌いになんてなれへんやろ?」
「え、あ、ええ?」
全く状況に追い付けないまま、宮君は私に背を向けて男子のコートに戻っていった。はあ、とはーちゃんのため息が聞こえる。
「あそこでなんでって聞くお前の勇気。なんや宮開き直ってしもうてたやないの」
「え、いやっ、全然頭が追いつかんねんけど!」
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える(プロフ) - まる汰さん» 嬉しい限りです!すごいバレーをする侑君もちゃんと高校生なんだよって作品を書きたかったので、そう言ってもらえて嬉しいです!こちらこそありがとうございました! (2019年8月21日 15時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
まる汰(プロフ) - めちゃくちゃ素敵でした…宮侑も主人公も普通の高校生な雰囲気がとても可愛らしくてキュンキュンしました。ありがとうございます! (2019年8月20日 23時) (レス) id: 216222d194 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - チャイさん» 私のほうこそいつもチャイ様の作品に心撃ち抜かれてます…。憧れの作者様にそう言ってもらえて光栄です!私のほうこそ応援してます!コメントありがとうございました! (2019年8月19日 18時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - すごく面白かったです、、宮侑の性格言動行動が全部わたしのドストライクでした、、撃ち抜かれました、、打ち返します、、満塁、、(??) 応援してます!!!! (2019年8月19日 17時) (レス) id: cf703f5653 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» ありがとうございますー!こちらこそです! (2019年8月15日 22時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:える | 作成日時:2019年8月14日 11時