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「……キスしてええ?」


言葉が出ないことに戸惑っていると、宮君がすがるような声で言った。「……あかんよ」そう断ると彼はムッとして、「Aちゃんが今期待させるようなことしたんやろ」と眉をよせた。


「してええって宮君言っとったやん。……でも今はほんまにそんなつもりやなかったんよ。私、宮君のこと好きなんかな?わからへんねん」


「好きやろ。好きやって、絶対」


「押しつけがましいわ」


「だいたいなんで頑なに俺になびいてくれへんの?」


けして私は宮君になびいていない訳ではない。むしろ頭の中がぐちゃぐちゃになってしまうくらいには彼に翻弄されていた。


「……私、宮君を好きになんてなりたあなかったんよ。宮君のこと好きになったら嫉妬で気が狂ってまいそうやし。それくらいモテるやん、宮君」


「……なんや、それ」


彼はブワワッと顔を真っ赤にさせる。


「なりたあなかったっちゅーことは、俺のこと好きなん?」


「え」


熱を帯びた彼の瞳が私をとらえて離さない。自分が口にした言葉を確りと思い出して、ジワジワと体温があがっていった。


「私ほんなこと言った?」


「言った!言ったで!」


ああ、私は彼を好きになってしまったのか。なんともチョロく単純な女である。結局私は最後まで自分の想いすら気づけずに、こうやってこの恋も無駄にしてしまっていたのかもしれない。


ならこの悩みに悩みきった数ヵ月はいったいなんだったのか。自業自得と言えばそうであるけれど、無駄ではなかったと思いたい。


彼の大きな両手が私の顔を包んだ。


「キスしてええやろ?」


「んう」


もうしとるやん。

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える(プロフ) - まる汰さん» 嬉しい限りです!すごいバレーをする侑君もちゃんと高校生なんだよって作品を書きたかったので、そう言ってもらえて嬉しいです!こちらこそありがとうございました! (2019年8月21日 15時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
まる汰(プロフ) - めちゃくちゃ素敵でした…宮侑も主人公も普通の高校生な雰囲気がとても可愛らしくてキュンキュンしました。ありがとうございます! (2019年8月20日 23時) (レス) id: 216222d194 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - チャイさん» 私のほうこそいつもチャイ様の作品に心撃ち抜かれてます…。憧れの作者様にそう言ってもらえて光栄です!私のほうこそ応援してます!コメントありがとうございました! (2019年8月19日 18時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - すごく面白かったです、、宮侑の性格言動行動が全部わたしのドストライクでした、、撃ち抜かれました、、打ち返します、、満塁、、(??) 応援してます!!!! (2019年8月19日 17時) (レス) id: cf703f5653 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» ありがとうございますー!こちらこそです! (2019年8月15日 22時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:える | 作成日時:2019年8月14日 11時

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