71▽ ページ32
「……腹立つわー」
天童はまたいつもの表情に戻る。「あっぶなっ！」とAはすんでのところで弾をよけたものの、頬に一筋の線が入っている。タラリとそこから血が流れた。
「Aちゃんの言ったことは大方あってるヨ。俺、第六感で相手の動きとか予測できちゃうから気持ち悪がられてたんだよね。今はそれがいかせてるし、魔力量が少ないことに劣等感なんてのも抱かないんだけど。
だからお前みたいにあからさまな敵意とか理不尽な妬みとか嫌悪とか向けられるのがわりと苦しいの知ってるわけ。
それをさもなんともないヨ〜。大丈夫ダヨ〜。みたいな反応してる奴ってムカつくし気持ち悪ぃ〜の」
ケラケラと天童は笑う。Aは天童の言葉に困ったように笑って、「あ〜」とこぼした。
「天童さんには私、そんな風に見えてんですね」
「ん？」
「ため込むのも流すのもうまいんです、私。でも傷付いたって自覚すると一気に駄目になって、また吐き出してスッキリするとある程度その傷付いたってのに気づかなくなってため込む。それの繰り返しです」
「自覚ありありのちょーめんどくさい情緒不安定野郎なんですよ」ヘラっと笑うAに天童は目を見開いた。
「天童さんが見ている私は外面のいい私ですね。嫌われてる理由分かったんで、大収穫です」
「仲良くしようとかじゃないんだ？」
「仲良く、ですか？まさかあ。貴方が私を嫌いな限りそれはない」
あと私あん時の挑発忘れてないので──
ニッと天童が口角をあげる。ハンドガンを連射して、確実に急所のすぐ横を狙った。Aは器用にそれを避けながら、懐から小さい小瓶を二つ取り出す。
Aはその片方をグイッと飲み込んで、もう一つを天童の近くに叩きつけるように投げつけた。
「戦闘不能にすれば勝ちなんですよね、これ」
天童は何かに気づいてすぐに呼吸をとめる。しかし気づいたときにはもう遅い。クラリと歪んだ視界に、平行感覚が保てなくなる体。
「薬の調合まで出来るとか知らねぇ〜……」
バンバンと残りの弾も撃つが狙いが定まらず、避けずともAに当たることはなかった。
Aは地面に倒れ動かなくなった天童を確認する。
「やっばあ、睡眠薬と興奮剤一本ずつ使っちゃった」
はあ、とAは熱っぽい息を吐き出す。苦笑して、グツグツと沸き立つ感情を抑えながら再び松川のもとへと足を向けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 351人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
R(プロフ) - めっちゃおもろいです…更新、待ってます🙇♀️ (2月25日 1時) (
レス) @page35 id: a38d8c3d1f (このIDを非表示/違反報告)
ワグマン - パロ系あんまり好きじゃなかったんですけどこの話読んでめっちゃ好きになってしまいました！！更新頑張ってください(*- -)(*_ _)ﾍﾟｺﾘ (2020年8月4日 21時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
あーさん(プロフ) - すっごく面白くて一気読みしてしまいました…！ダークな雰囲気が根底にある設定大好きなのとバトルシーンもワクワクします。もう本当にツボです…！笑 これからも応援しています(o^^o) (2020年6月5日 9時) (レス) id: 19c0d362e8 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 咲夜さん» コメントありがとうございます！気ままな更新ですがどうぞお付き合いください(*^^*) (2020年4月29日 13時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 面白いです(* >ω<)。更新頑張ってください。続きが読みたいです(*- -)(*_ _)ﾍﾟｺﾘ (2020年4月29日 13時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：える | 作成日時：2020年3月13日 15時
