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「(疲れた)」
授業終わり、制服に着替えてタオルに顔を埋める。多少経験の差は仕方ないけれど、あそこまでギリギリの戦いになる予定はなかったのに。
稽古場のベンチでうなだれる。果たして本当に経験差だけが原因だろうか。
「え、めっちゃ落ち込んでるじゃん」
頭の上にポスッと大きな手が乗る。撫で撫でと数回その手が動かされると、ゆっくり離れていった。
「川西さん、まだいたんですか？」
「おー、いた。俺負かしたのになんで落ち込んでるの」
顔をあげれば川西さんがこちらを見下ろしていた。相も変わらずのポーカーフェイス。
「経験差や男女の差を仕方ない、で片付けるつもりはありませんけど、それ以上に努力の差がなあ、と」
「逆にそれで俺に勝ったのは褒められることじゃない？それにお前は別に努力を怠っていないだろ」
「んん。優しい」
いい先輩だと思う。彼のチームの天童さんや牛島さんは苦手だけれど、川西さんは間違いなく優しい。
「まあ逆崎は可愛い後輩だし」
「……チーム戦本気出せなくなっちゃうじゃないですか」
いや、多分私は別の心配をしている。捨てるはずの命が惜しくなってしまうことを、今の私は心配しているのだ。
「それはありがたい」
「ありがたいんだ」
「大幅な戦力ダウンだろ、青城の」
「随分私のこと買ってくださるんですね」
「うん。所属決めもレビュー戦も、なんならそっちの大将との戦いも見てたから。お前は強いよ、性別抜きにしても」
欲しい言葉を次々にくれる川西さん。「モテるでしょ、川西さん」そう言えば彼は「そんなでもない」と口にした。
「うちで言うと牛島さんとか瀬見さん、あと白布とかに持ってかれる」
「川西さんも十分すぎるくらい顔整ってますけどね」
「推してね」
「推しまくりです」
思わず吹き出す。「あ、そうそう」と、吹き出す私をよそに川西さんが思い出したように切り出した。
「今回のチーム戦の報酬はメンバー横取り券だって」
「……は？」
メンバー横取り？
「そ。リーダー以外の人間を、どのチームでも無条件に自分のチームにいれることができるヤツ。前例がない訳じゃないけど、ここしばらくはなかったっぽいね」
「……うちのメンバーとられたらどうしよう」
「それ。でも多分逆崎は自分の心配をした方がいい。井闥山が優勝なら間違いなく引き抜かれるよ、お前が」
私はその言葉に首をかしげるばかりであった。
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R(プロフ) - めっちゃおもろいです…更新、待ってます🙇♀️ (2月25日 1時) (
レス) @page35 id: a38d8c3d1f (このIDを非表示/違反報告)
ワグマン - パロ系あんまり好きじゃなかったんですけどこの話読んでめっちゃ好きになってしまいました！！更新頑張ってください(*- -)(*_ _)ﾍﾟｺﾘ (2020年8月4日 21時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
あーさん(プロフ) - すっごく面白くて一気読みしてしまいました…！ダークな雰囲気が根底にある設定大好きなのとバトルシーンもワクワクします。もう本当にツボです…！笑 これからも応援しています(o^^o) (2020年6月5日 9時) (レス) id: 19c0d362e8 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 咲夜さん» コメントありがとうございます！気ままな更新ですがどうぞお付き合いください(*^^*) (2020年4月29日 13時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 面白いです(* >ω<)。更新頑張ってください。続きが読みたいです(*- -)(*_ _)ﾍﾟｺﾘ (2020年4月29日 13時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：える | 作成日時：2020年3月13日 15時
