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所かわって場所は静かな空き教室。Aの泣き声だけが響いていた。
グズグズと涙で顔を濡らして、まるで幼児のように泣くAに月島は魔法などなくてもあれで十分だった、とそんな彼女を見て思う。
月島と山口の誤算は思った以上にAが自分達を信用していて、飄々と器用だと思っていたAが案外不器用だったということ。
山口は心配そうにずっとAの背中をさすっていた。
「私は、きっと人間じゃない」
「うん」
「人間には戻れない」
「うん」
「でも、人間に戻りたい」
「……うん」
ぐすっ、とAはまた鼻をならした。山口は優しく、あやすように相づちをうつ。
「私は、化け物かもしれないけど。絶対君らのこと守るから。だから、友達でいさせて」
いつもの軽口や笑顔はない。Aから出てくるのはそんな甘い言葉ばかりで、わがままや子供っぽいととらえられても仕方のないようなものだった。
しかし月島にも山口にも、彼女にたいしての嫌悪感というのは全くない。むしろ彼女へたいしての庇護欲が芽生えた位である。
それくらい彼女は弱音も甘えも吐かない。時には彼女が女であることすら忘れさせられてしまうほどの強さを見せるのだ。
「駄目だなんて、そんなこと言うはずないよ！」
「……いいの？」
「ま、しばらく今のキミはネタにさせてもらうケド」
「それは、やだなあ」
クスリとAが笑った。ゴシゴシと少し乱暴に袖で涙をふくと、「ありがとう」と照れくさそうに笑う。
「こんなはずじゃなかったんだけど」
こんなに泣いたとはいつぶりだろうと考えるもAは思い出せなかった。それくらい前。「すっきりした？」という山口の問いにコクンと頷く。
「ごめん」
「て言ってもホントにちょっとしか泣かなかったじゃん。せいぜい10分くらい」
「10分は相当だよ。だって私に限らず皆この歳で泣くことないでしょ？」
確かに、と二人は静かに同意した。「ね？めっちゃはずい」と、少し枯れた声でAが言う。
「でも、本当にありがとう」
守るものがまた一つ二つと、Aの心に確かに追加される。「なんかあったら二人も言って。出来る限り力になるから」
「ドーモ」
「ありがとう」
「すごい素直じゃん」
「一番素直になった逆崎が言う？」
「そゆこと言う？普通」
ケラケラと、いつも通りの笑い声が響いた。
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R(プロフ) - めっちゃおもろいです…更新、待ってます🙇♀️ (2月25日 1時) (
レス) @page35 id: a38d8c3d1f (このIDを非表示/違反報告)
ワグマン - パロ系あんまり好きじゃなかったんですけどこの話読んでめっちゃ好きになってしまいました！！更新頑張ってください(*- -)(*_ _)ﾍﾟｺﾘ (2020年8月4日 21時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
あーさん(プロフ) - すっごく面白くて一気読みしてしまいました…！ダークな雰囲気が根底にある設定大好きなのとバトルシーンもワクワクします。もう本当にツボです…！笑 これからも応援しています(o^^o) (2020年6月5日 9時) (レス) id: 19c0d362e8 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 咲夜さん» コメントありがとうございます！気ままな更新ですがどうぞお付き合いください(*^^*) (2020年4月29日 13時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 面白いです(* >ω<)。更新頑張ってください。続きが読みたいです(*- -)(*_ _)ﾍﾟｺﾘ (2020年4月29日 13時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：える | 作成日時：2020年3月13日 15時
