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マーク。「これはまた」存外、高度な魔法を使う。そこまでの実力があるというのなら特別私を恨み嫌う理由が見当たらない。まあそれが彼自身のものであるかは分からないけれど。


「川西さんはその1年のこと知ってるんですね」


「え」


驚いた、といった風に彼は少しだけ目を見開く。この学園から人が退学するなんて特別珍しい話ではない。


所属決めの時に国見君も言っていたけれど、ここは中高一貫にも関わらず高等部の人数が非常に少ないようだし、なにも不思議ではないのだ。


私に関わる人物ならその彼の事を知っていても不思議ではないけれど、川西さんが知っているのは少し不思議に思う。


「びっくりした。まじで?そこそこ有名な話だと思うけど、俺は。逆崎さんは随分守られてんだな」


その言葉に悪意はない。ただ、なにかを納得するように。


「聞いてもいいですか、その話」


「でも青城が君に隠してきたなら、俺は聞かない方がいいと思う」


「そこをなんとか」


川西さんは少ししぶった後、「俺から聞いたって言わない?」と首を横に倒した。肯定の意味で頷く。


「君を襲った子、ゴーストと契約してたんだって。今は国の病院にいるけど多分命はそう長くない。夜な夜な抜け出している、なんて噂もあったりなかったり。まあ君にマークつけてるところ見ると、ただでは死ななそうだけど」


「やばいじゃん」


聞き覚えのない話。知り合いが意図的にこの話を私の耳にいれないように接してくれていたのだと思うと彼の言う守られている、というのも真実だ。


その上随分重い中身の内容。契約者がゴーストということは代償は肉体。だんだんと憑依される時間が長くなり、最後には完全に乗っ取られてしまうだろう。


命が短いとは、つまりそういうこと。


ゴーストとの契約は肉体を乗っ取られるまでという制限時間つき。そこまでして彼は力を欲したのだ。


「気をつけて。乗っ取られた後は国が罰するだろうけど、彼はまだギリ人間だから。そこまでして君を殺したかったなら、覚悟してて悪いことはないんじゃない」


「ですね。ありがとうございます」


彼の死はすでに確定事項。契約をどうにかすることは他者には不可能だ。そこまでするほど私の事が嫌いだった。


否、憎かったのだろう。どれ程彼は自らの力を過信し、溺れていたのか。きっとこんな、魔法も使えない私に嫉妬するくらいにはプライドが高かったのだ。

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R(プロフ) - めっちゃおもろいです…更新、待ってます🙇‍♀️ (2月25日 1時) (レス) @page35 id: a38d8c3d1f (このIDを非表示/違反報告)
ワグマン - パロ系あんまり好きじゃなかったんですけどこの話読んでめっちゃ好きになってしまいました!!更新頑張ってください(*- -)(*_ _)ペコリ (2020年8月4日 21時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
あーさん(プロフ) - すっごく面白くて一気読みしてしまいました…!ダークな雰囲気が根底にある設定大好きなのとバトルシーンもワクワクします。もう本当にツボです…!笑 これからも応援しています(o^^o) (2020年6月5日 9時) (レス) id: 19c0d362e8 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 咲夜さん» コメントありがとうございます!気ままな更新ですがどうぞお付き合いください(*^^*) (2020年4月29日 13時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 面白いです(* >ω<)。更新頑張ってください。続きが読みたいです(*- -)(*_ _)ペコリ (2020年4月29日 13時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:える | 作成日時:2020年3月13日 15時

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