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▽▽▽
もうじきチーム戦がある。というのに私はまだ二口さんに会えていなかった。どうやら選択の授業が一つも被っていないらしい。
チーム戦までにはあの問題を解決したいと思っていたものの、彼に会えないんじゃどうしようもなかった。
口から飛び出そうになったため息をゴクリと飲み込む。すると不自然な痛みが胸に走った。
「(おっと)」
なにか違和感。はて、病気であろうか。グッと強く胸の辺りを握ると、確かに痛みがある。
限りなく嫌な予感がした。グルリと辺りを見渡すとそこは確かに見慣れた廊下で、人はいない。段々と強くなる胸の痛みに訳もわからずうずくまるしかなかった。
「(魔か、呪の一種)」
病気ではない。こんな時誰に頼るべきか思考を巡らせようとするが、生憎と私は魔法の類いを一切使えないため、そもそも助けを呼ぶと言う手段が存在していなかった。
せいぜい大声を出すくらいのものであるけれど、人通りの少ないこの廊下を運よく誰か通ってくれるだろうか。
「(……これ死ねるんじゃないかな)」
一つ息を吐き出すと体の力が抜けた。壁に寄りかかって苦しさに耐える。「くっははっ!」愉快そうな声が頭上から聞こえた。
「ゴーストの魔術だ。苦しいだろ。はっ、ははっ。滑稽だな」
いつのまに。気配など一切感じなかった。人の気配は。
グイっと乱暴に髪を持ち上げられる。見たことのある顔が見下したように私を笑っていた。けれどその顔は随分とやつれ、青白い。長くないな、と目に見えて分かる。
どうしてここに、などという疑問は浮かばなかった。
「今度こそ、今度こそお前は死ぬ。死ぬんだ、俺が殺す。んふ、あの時穴に落ちていたら今より楽に死ねたのに」
あの穴。心当たりがあった。私が二口さんを探していた理由でもある。本当は二口さんにあの時の依頼書を見せて過去視してもらおうと思っていたのに、思わぬ形で解決してしまった。
彼があの依頼書を出したという事が決定づけられる。ああ、やはり変な固定概念はよくない。
「お前だけじゃない。全員死ね。まずは憑き人からだ。そうすればその他の奴も魔女によって死ぬ」
スムーズに、容易にな──
ポロポロと私の頬に落ちる涙はいったい。
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R(プロフ) - めっちゃおもろいです…更新、待ってます🙇♀️ (2月25日 1時) (レス) @page35 id: a38d8c3d1f (このIDを非表示/違反報告)
ワグマン - パロ系あんまり好きじゃなかったんですけどこの話読んでめっちゃ好きになってしまいました!!更新頑張ってください(*- -)(*_ _)ペコリ (2020年8月4日 21時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
あーさん(プロフ) - すっごく面白くて一気読みしてしまいました…!ダークな雰囲気が根底にある設定大好きなのとバトルシーンもワクワクします。もう本当にツボです…!笑 これからも応援しています(o^^o) (2020年6月5日 9時) (レス) id: 19c0d362e8 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 咲夜さん» コメントありがとうございます!気ままな更新ですがどうぞお付き合いください(*^^*) (2020年4月29日 13時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 面白いです(* >ω<)。更新頑張ってください。続きが読みたいです(*- -)(*_ _)ペコリ (2020年4月29日 13時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:える | 作成日時:2020年3月13日 15時