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岩泉さんの小言が無事終わり、私は昼食をとりに食堂へ向かっていた。この学園は完全寮制。基本ほとんどの生徒が食事は食堂だ。


「つ〜かま〜えた〜」


グイッと、それはあまりにも予想をしていなかった力だった。唐突に腕を引かれて、バランスを崩さないものなどいないだろう。


「うわっ!」


ドンッと衝撃。壁に押し付けられているのだと理解するのに時間はかからなかった。なんとなく、面倒くさい相手に捕まったのだということも。


「青城のお姫様確保〜」


「劣等生の次はお姫様かあ」


苦笑。赤髪の彼はニヤニヤと私を見下ろして、「肝すわってんね〜、お前っ」と、私に顔を近づける。それは初対面の人間に壁に押し付けられているのに、ということだろうか。


「いやあ、全然。くそビビり野郎ですよ。っと、近いです」


「んん〜、その顔120っ点!可愛い!」


「よしてください」


この距離での会話は正直誰であっても照れる。「俺は天童覚!白鳥沢だよ〜」


「逆崎Aです」


「ウンウン、顔も礼儀も問題なーし!で?」


さっきのあれ、なあに?──


さっきの。そういえばこの人も同じ授業受けてたなあ、と思い出す。記憶のどこかに彼の赤髪があった。


「なあにと言われましても。なんでしょうね、あれ」


「じゃあ意図的にブラックドッグを召喚した訳じゃ無いんだー」


「魔法陣を書いたのは岩泉さんで、私がしたのは血を垂らしただけです」


それはそれで、という感じだけれど。生きていることを否定されたような気がしたのは間違いなくて、まるで私を向かえに来たかのような気がした。


生きることも死ぬことも許されないのか、と少し自嘲する。


「なあんだ、そーなの」


スッと影がなくなった。「誰かを殺すためにって訳じゃなかったのネ」笑顔が一瞬にして見下すようなものに変わる。


「普通の女の子に興味は無さそうですね」


「そんなことないよぉ〜。ただ、悪い女の子ならいっぱい遊んであげようと思っただ・け」


含みのある言い方。やはり彼は面倒くさい人物、で間違いないらしい。どうしてここの人達は初対面から攻撃的な人達が多いのだろうか。


「ま、でも君が俺らの脅威ではないことは確認できたし?そこは収穫ってことで」


それは多分、私の実力が自分達には害がない、ということで。


「油断してると足元がっぽりすくわれちゃいますよ?」


口からでた挑発は、あまりのにも感情的だった。

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える(プロフ) - 汐見さん» コメントありがとうございます!賛否ある設定の物語ですが、そう言っていただけて幸いです(*^^*)これからもよろしくお願いいたします (2020年3月1日 11時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
汐見(プロフ) - 初見です!とても面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月29日 16時) (レス) id: dc0ff62b63 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 凜乃さん» ありがとうございます!長編の予定ですので、ごゆるりとお付き合いください。わざわざコメントありがとうございました(*^^*) (2019年12月12日 21時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
凜乃(プロフ) - 毎回とても楽しみにさせて頂いてます。更新頑張ってください (2019年12月11日 23時) (レス) id: 8218d9be2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:える | 作成日時:2019年12月4日 17時

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