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よく目玉焼きにかけるのは醤油派?ソース派?などという問いがあるが、私は断然塩コショウ派である。そんでもって堅焼き派。
まあそんなたいそうなこだわりを持つほど目玉焼きを頻繁に食べるわけでもないけれど、好みというのは日々を過ごすなかで自らを形成する大切な一つだ。
「という訳で君はどっち派?」
「初対面の上に馴れ馴れしいんですケド」
「じゃあ隣の君は?」
「えっと、醤油、かな」
「なら私も明日は醤油にしてみようかな」
にこりと笑えば穏やかそうな顔の彼もつられたように笑う。「てかアンタ誰」と水をさすように不機嫌な声が、そんな彼の表情を強ばらせる。
「逆崎A。君は?」
「ああ、噂の」
噂の。一つ瞬きをして、ああと理解する。彼の表情からなんとなく、その噂が尊敬や羨望といったいいものではないのだろう。「噂ねえ」真っ直ぐと彼の目を見つめる。
「もう!ツッキー!」睨み合うような形の私達にしびれを切らしたのか、そう物腰の柔らかい彼が咎めるように言った。
「ご、ごめんね、逆崎さん。あ、俺は山口忠!こっちはツッキーだよ!」
「へえ、ツッキー」
「ちょっとその呼び方やめてくれない?」
「じゃあ何て言うの」
「……月島蛍」
ムスッとそう口にした。案外年相応な反応に少しばかり驚いて、それから笑う。
「そっか。山口君に月島君ね。よろしく」
「よろしく!」
「僕はよろしくするつもりないけど」
「なら勝手によろしくさせてもらう」
鬱陶しそうに月島君が目を細めた。分りやすい彼にケラケラと笑って、残った朝食を咀嚼し、ゴクリと飲み込む。「それじゃ、またね」と食事トレーを持ち上げて、手を振る代わりにもう一度笑った。
背を向けて場を後にすると、後ろから独特な呼び方で彼らを呼ぶ声が聞こえて、朝一で勧誘かと昨日の出来事を思い出す。
彼らは随分と優秀だったのだろう。
食事トレーを返して、ぐっと伸びながらあくびをこぼす。お腹がいっぱいになったからか眠たい。いやまあ勿論原因はそれだけじゃなく、昨日のあれで全身筋肉痛でなかなか快適な睡眠が出来なかったというのも理由の一つではあるが。
先程の伸びで筋肉がギチギチと音をたてた。
寝たら治ると思っていたけれど、どうやらそれにも限界はあるらしい。
運動不足を自覚して、軽くランニングの予定をたてた。
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える(プロフ) - 汐見さん» コメントありがとうございます!賛否ある設定の物語ですが、そう言っていただけて幸いです(*^^*)これからもよろしくお願いいたします (2020年3月1日 11時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
汐見(プロフ) - 初見です!とても面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月29日 16時) (レス) id: dc0ff62b63 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 凜乃さん» ありがとうございます!長編の予定ですので、ごゆるりとお付き合いください。わざわざコメントありがとうございました(*^^*) (2019年12月12日 21時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
凜乃(プロフ) - 毎回とても楽しみにさせて頂いてます。更新頑張ってください (2019年12月11日 23時) (レス) id: 8218d9be2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:える | 作成日時:2019年12月4日 17時