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獣人は昔差別されていた。それは紛れもない事実で、現実。今ではその考え方は改められているけれど、それでも昔からの風潮というものはそう簡単にはなくならない。


しかし異例として、この学園ではあまり獣人自体が珍しいということもないようだけれど。


「稲荷崎……」


聞くところによると、その稲荷崎というチームはそんな獣人で結成されたチームらしい。上位を争うような優秀なチームで、特に双子の宮兄弟なんかはすごい人気なのだと。


そして昨日出会った彼はその宮兄弟の片割れだと、分かったことはここまでだ。


昨日の今日でなかなか調べたと思うが、すべて岩泉さんの受け売りである。


「んで、流してはいたが、なんで手前は人に殺されそうになるような状況になってんだべあ。アホか」


バシン、と容赦ないはたき。「岩泉さん今一応授業中ですよ」頭を押さえて悶える。


「召喚術の実践だろ。どうせお前は出来ねえんだから見とくだけだろおが」


「血は私の使うんだから見とくだけじゃないですー」


「あーはいはい、そうだったな」


黙々と魔方陣を書く岩泉さん。「んで、そうなった経緯は」


「歩いてたら空き教室に引きずり込まれたんですよね。んで、首絞められて。私みたいなのがチームに所属できたのが妬ましかったみたいです。魔物と契約してまで私を殺したかったんだから、行動力だけは立派だと思いますけど」


「抵抗すりゃよかっただろ」


「逆上される方が最悪でした」


あの時の私は服に忍ばせたちょっとした暗器しか持っていなかったし、契約した魔物によってはあの男子生徒には勝てなかっただろう。


「跡、一回死なねえと消えねえんだろ。自然治癒待つしかねえのか」


「ですね」


「うんこ野郎だな、そいつ」


「ですねえ」


苦笑する。なんだかんだしれっと心配してくれるのだから、この人も大概いい人だ。


「書きおわった。逆崎、血垂らせ」


「はい」


がぶっと親指を噛む。自らの尖った八重歯でプツリと肌に穴を開けると、じわっと口のなかに生温い温度が広がった。


「痛くねえか?」


「平気ですよ」


ポタポタと血が魔方陣の上に落ちる。赤が、塗られていく。


「じゃ、いくか」

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える(プロフ) - 汐見さん» コメントありがとうございます!賛否ある設定の物語ですが、そう言っていただけて幸いです(*^^*)これからもよろしくお願いいたします (2020年3月1日 11時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
汐見(プロフ) - 初見です!とても面白かったです!更新頑張ってください! (2020年2月29日 16時) (レス) id: dc0ff62b63 (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - 凜乃さん» ありがとうございます!長編の予定ですので、ごゆるりとお付き合いください。わざわざコメントありがとうございました(*^^*) (2019年12月12日 21時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
凜乃(プロフ) - 毎回とても楽しみにさせて頂いてます。更新頑張ってください (2019年12月11日 23時) (レス) id: 8218d9be2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:える | 作成日時:2019年12月4日 17時

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