検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:106,767 hit

5 ページ5

逆崎Aという青年は鬼殺隊の柱の中でも温厚な性格で、その上ずば抜けて仲間想いの好青年だった。


竈門炭治郎が鬼である禰豆子を連れて現れたとき、彼だけが炭治郎と禰豆子を真っ先に快く受け入れ、微力ながら他の柱の説得を試みたこともある。


柱の中でも若い彼の実力は他の柱にも劣らずのもので、全員が彼の実力と人柄を認めていた。それほどの青年の死因というのも、まさにその青年の人柄であった。


宇随天元は命の順序を一に女房、二に堅気、三に自身としていたが、逆崎Aは一に仲間、二に仲間、三に仲間、である。


つまり彼は、仲間以外の命は一般人はおろか、自分すらも守る勘定に入っていないのだ。


しかし彼の人柄上、仲間という枠にはまる人物はそれはそれは多かった。鬼殺隊の人は勿論、一度二度言葉を交わしただけの団子屋の娘や、仕事で助けたことのある少年。


些細なきっかけや関わり。しかし彼はそんな人物でさえも、自らが認めた人間は仲間や大切という枠に入るのである。


そんなAを一番に可愛がり世話を焼いていたのは煉獄杏寿郎だった。


柱の人間はAを仲間として、人間として認めている反面、どこか危うさを感じていた。いつか彼は、彼自身の人柄で自分を殺す、と。


だから煉獄は人一倍優しい彼を甘やかした。のちに煉獄が死闘のさいに亡くなった時のAは見ていられなかったと柱は語る。


そしてその数年後には、柱の予感していた通りの結果がAを待ちうけていた。


それは実に柱として、鬼殺隊の人間として失格と見なされる行為であり、あまりにも愚かなものだった。


「寂しかったのか、お前は」


Aがそう優しい笑顔を向けた相手は、鬼舞辻無惨であった。その場にはAと彼だけで、きっとそれがAの判断を鈍らせてしまったのだ。


Aがそう口にしたときには既にボロボロで、鬼舞辻はそんなAを見て嘲笑した。


鬼舞辻に寂しいという感情があったのか否か、それはどうでもいいのである。問題は彼が、鬼である鬼舞辻無惨に、全ての始まりに情けをかけてしまったこと。


鬼殺隊やお館様を裏切るも同然の行為。


Aは鬼舞辻に胸を貫かれ死んだ。そして胸を貫かれた一瞬で、冷静になったのである。自分の一番は鬼殺隊の仲間、そしてお館様であったはずなのに。


煉獄の敵は目の前にいるのに。


彼は自分を呪った。

6→←4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (133 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
298人がお気に入り
設定タグ:文スト , 鬼滅の刃 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

赫赫 - えっそこで更新停止…!?勿体ない……!!とても面白い作品です!更新して欲しいです! (2021年12月9日 7時) (レス) @page39 id: 33d74645c1 (このIDを非表示/違反報告)
10優 - すんごく面白いです!一瞬で文スト(鬼滅?)の世界に引き込まれちゃいました(笑)更新待ってます。頑張って下さい! (2019年12月4日 1時) (レス) id: 9d99cb2590 (このIDを非表示/違反報告)
六花 - あのお願いがあるのですが、逆崎君の詳しいプロフィールを教えてほしいです!無理ならば大丈夫ですよ。更新いつでもいいので頑張ってください! (2019年10月12日 19時) (レス) id: 1558ece2fb (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - ルルナナさん» ありがとうございます(*^^*)不定期な更新ですが、ぜひ逆崎君の物語にもうしばらくお付き合いください。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月11日 0時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!此れからも頑張ってください! (2019年8月10日 23時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:える | 作成日時:2019年5月25日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。