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「これはまずい」


グルルルと獣のように喉をならす人間を前にして太宰はそうこぼした。ボタボタとそれの口から落ちる涎は太宰を食いたくて仕方ないと言わんばかりの量である。


「ちょっともう、どうしてくれるのさ中也。私の血は鬼にとってはご馳走なのだよ?」


「ああ!?手前がうちの仕事場に居たんだろうが!」


「ここは普通の会社だろう?依頼は護衛だったけれど、まさかポートマフィアを敵に回していたなんて。いや、今はそんなことはいい。君が私を見つけた瞬間に不意打ちでナイフを投げたというのが問題だ」


ポタッと太宰の頬を一筋の血が伝う。「あんだけ投げても一本、しかもかすっただけだろ。不意打ちとは言わねえ」中原は不機嫌そうに舌打ちをこぼしていった。


「で、こんなワラワラと手前に群がってるのは鬼か。いい機会だな、餌になってやればいいだろ」


「食い散らかされるのは御免だ。にしても、Aさんから貰った藤のお守りを持っていてもこれか。全く、面倒くさい体質だね」


丈夫そうな窓は匂いにつられた鬼によって割られている。理性のあるような鬼は見たところ居なさそうだったが、自分達はこれらを倒すことが出来ない。


「素直にAさんに連絡しよう。中也ー!私もろとも餌になりたくなかったらAさんが来るまで全力で戦いたまえ!」


「手前だけ死ね!」


中也は持ち前の体術と異能でどうにか鬼に太刀打ちするも、鬼は素早く中々触れられない。中原はそれに苛立ちを感じていた。


「あ、もしもしAさん?助けて死にそう」


Aの焦った声が端末越しに部屋に響く。と同時に、外からこちらに向かってくる影に気がついた。ここはビルの二階。「……まだ増えるのかい?勘弁しておくれよ」と太宰は思わずため息をついた、が。


水の呼吸 拾ノ型 生生流転


後ろの扉から入ってきたその人物によってそんな心配は杞憂に終わった。先程太宰が見た影は間違いなくその人物で違いない。


中原と太宰の横を切る風に、二人は思わず唖然とした。


「……鈍った」


その人物は顔色を変えず、数十もの鬼の首を一瞬にして斬り落とした。そしてそうボソリと呟く。


手に握られた刀は青い。男は淡々と二人に向けて「無事か」と問うた。


身にまとうのはジャージ。外見は若く、整った顔立ちをしていた。

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赫赫 - えっそこで更新停止…!?勿体ない……!!とても面白い作品です!更新して欲しいです! (2021年12月9日 7時) (レス) @page39 id: 33d74645c1 (このIDを非表示/違反報告)
10優 - すんごく面白いです!一瞬で文スト(鬼滅?)の世界に引き込まれちゃいました(笑)更新待ってます。頑張って下さい! (2019年12月4日 1時) (レス) id: 9d99cb2590 (このIDを非表示/違反報告)
六花 - あのお願いがあるのですが、逆崎君の詳しいプロフィールを教えてほしいです!無理ならば大丈夫ですよ。更新いつでもいいので頑張ってください! (2019年10月12日 19時) (レス) id: 1558ece2fb (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - ルルナナさん» ありがとうございます(*^^*)不定期な更新ですが、ぜひ逆崎君の物語にもうしばらくお付き合いください。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月11日 0時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナ(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!此れからも頑張ってください! (2019年8月10日 23時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:える | 作成日時:2019年5月25日 23時

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