XI ページ13
『って事があって』
「大変だな」
『もしかして興味無い…?織田作さん』
久々に帰ってきた家のベランダで壁に凭れ
煙草を吸いながら話し相手として
電話を掛けたのは4年前死んだ筈の
ポートマフィア最下級構成員だった
織田作之助さんである
「太宰の何が嫌なんだ?」
『その聞き方は何だか違う意味に聞こえる
まあ善いや、別に嫌とかじゃ無いのよ
唯あの日出て行くと聞きたかっただけ』
そう…これはあの日何も聞かされなかった
私の八つ当たりでしかない
「子供達やお父さんを助けた後
すぐに伝えようと思ったら2人共いないし
やっと見つけたと思ったら死にかけた
織田作さんだけで太宰は見当たらないし…」
あの日車に閉じ込められた子供達は
魔獣達に助けられフリィダムのお父さんは
防御力上昇の異能を掛けていたから
怪我はしていたけど死に至る前に助け出せた
「あの時は周りが見えていなかったんだ
…本当に助かったと思っている」
『ほんと、皆無事で善かったよ』
織田作さんも回復が間に合わなければ
…少しでも遅かったら死んでいた
『…私達4年も…もう7年になるんだよ
如何して云ってくれなかったんだろうね』
「彼奴は巻き込みたくないと云っていた
きっと自分を止めないだろう
寧ろ着いてくる可能性の方が高い
…裏切り者にしたくないと云っていたぞ」
『彼ならそう考えるだろうね…
止めないよ、手伝ったくらいだし
でも着いていくなんてしないよ
私は先代の時からマフィアにいたから』
太宰なりの優しさなのは知っている
だから私は何も云わない。
着いていくつもりもないんだ
『あの日を引きずって馬鹿みたい。
今は皆バラバラだもんね…
太宰は探偵社、私はマフィアのままで
織田作さんは気ままな作家生活
安吾さんは特務課…見事にバラバラだ』
「…安吾とは連絡を取っているんだろう?」
『取ってはいるけど公には出来ないから
…それこそあの時から会ってないよ』
太宰が安吾さんを恨むのは当然だろう
織田作さんが死んだと思っていたんだから
『気が向いたら、太宰に会ってあげてよ
生きてるよって伝えたら泣きそうだった』
「太宰が泣くのか」
『変わったよねぇ…よく笑うしよく喋る
…昔から喋ってたけど何だろ、優しい?
ほんと、私だけ置いてかれちゃった』
私だけあの時のままで止まっている
何も捨てられない…弱い私のままなんだ
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暁月臨(プロフ) - 最高です!!!更新待ってます!!頑張って下さい!!! (7月4日 0時) (レス) @page29 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
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