【王宮パロ】スノーフレークは咲き誇る【浦.島.坂.田.船】 (ページ10)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:22,980 hit

9 ページ10

.

水を差し出しながらそう言ったさかたの瞳は、不安という文字が浮き出てきそうなほど揺らいでいた。

私はそれに小さく頷き、再び剣を持って元の位置へと戻った。

｢…まーしぃ、ちょっと｣

｢ん？｣

ふとうらた達の方へ視線を向けると、なにやら志麻に耳打ちをしているようだった。

きっと、また何かしら新しい任務でもできたのだろう。
志麻の顔色が若干暗くなっている。

私はそんな二人を横目に、部屋の中をぐるりと見渡す。
部屋にはあの特徴的な赤髪は見つからず、稽古場のドアが半開きになっていた。

｢…よし、じゃあ主。俺も夕食まで抜けるから、稽古頑張れよ｣

去り際にこちらへ寄ってきて私の頭を撫でたうらたは、小さく微笑みながら部屋を出ていった。

｢…それじゃ、俺らも再開しますか｣

剣を持ち直し、一度うんと伸びをした志麻は私の瞳を見てそう言った。

私も改めて剣を握り直し、目を瞑って深呼吸をする。

…左には常に警戒して、剣を受け止める時は腰を低く。
無駄のない、最低限の動きを意識して。

先程志麻に指摘された所を、次までには必ず改善する。

私は頭の中で何度もイメージトレーニングをして、もう一度志麻の瞳を見た。

｢…俺、主のそういうとこ好きやで｣

『…え、？』

｢何事にも前向きな姿勢、っていうん？そういう姿、かっこよくて好きやなって｣

そう言って微笑んだ志麻は、まるでサフィニア(・・・・・)のように美しかった。

.

お気に入り登録者100人↑ありがとうございます。