【王宮パロ】スノーフレークは咲き誇る【浦.島.坂.田.船】 (ページ6)

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｢主～！おはよ！｣

『おはよう、さかた。もうお昼だけどね』

今すぐにでも私に飛びついてきそうな勢いの彼──さかたは、私の側近兼護衛のうちの一人だ。

さかたも幼い頃から私と生活を共にしてきた者の一人であり、主に私の体調管理などをしてくれている。

従って、食事の時には必ずさかたがそばについてくれているのだ。

普段ならあともう二人この場に居るはずなのだが、今日は他に用があるのか不在らしい。

｢なあなあ主！俺な！朝の稽古の時、まーしぃに勝ったんよ！｣

｢凄いやろ！？褒めて褒めて！｣と、まるで幼い子供が母親に縋っている時のような物言いをしたさかた。

肩には腕が絡まっており、さかたの綺麗な赤髪が頬に掠って少し擽ったい。

『ふふ、良かったね。何をしたの？』

｢武術！めっちゃ長期戦になったんやけど、やっと勝ててん！｣

｢あれはさかたの体力お化けが生かされた勝負だったな。｣

｢んふふ！それほどでもないで～！照れるわ～｣

さかたのポジティブ思考は幼い頃から全く変わっていないようで。

うらたももう慣れてしまっているのか、一々突っ込んだりはしない。
ただ、子供の成長を見守る母親のような目で見つめるだけだ。

私は運ばれてきた昼食を前に、小さく手を合わせた。

この大きなテーブルには、椅子が4つ並べられている。
しかし、私が座っている椅子以外の机には食事処か何も置かれていない。

まるで、ここに来ない事が当たり前かのように。

きっと私がこうやって食堂に居る時でも、お父様たちはずっとお仕事をしているのだろう。

…それに比べて、私は───

｢…主？なんか顔色暗いけど、大丈夫？なんかあった？｣

中々食べ始めない私を見て不思議に思ったのか、さかたはそう顔を覗かせて聞いてきた。

私は先程考えていたことをさかたに話そうか迷ったが、話せばそれこそ失望されてしまうだろう。

『…いいえ、なんでもないわ。大丈夫』

私は一国の王女なのだから、もっと胸を張って生きていかないと行けない。
幼い頃から強く言われてきた言葉だ。

私はナイフとフォークを手に取り、お皿に乗ってあるエッグベネディクトに黄色い川を流した。

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