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既に闇に葬られている空を招くようにして、さかたは部屋にある大きな窓を開いた。
純白なカーテンレースが靡き、月明かりが部屋中を照らしている。
私は部屋に備え付けられてある椅子に腰を落とし、その周りに4人が各々移動する。
窓から入ってくる涼しい風に心が安らぎ、自然と私たちも気を休めることが出来た。
｢…じゃあ、まず俺からいいか？まふからAに向けて、預かってる文書がある｣
そう声を上げたうらたは、懐から小さく折りたたんである紙切れを取り出した。
一枚一枚丁寧に解いていき、ちらりと私の方へ目線を配らせる。
これは主である私の代わりに
私はもちろん、それに頷く。
それを見たうらたは、軽く喉を鳴らして文を読み上げた。
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うらたよりそちらの事情は聞いた
予定を変更し、メルユナ塔を視察した後スフォリアへと帰還する
また、帰還の際の出迎えは不要
数日の間、顔合わせも少なくなるだろう
予定していた稽古の手合わせも、Aには申し訳ないが日を伸ばさせて欲しい
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「それから、……っ、」
うらたはそこで言葉を区切ると、唇から小さく息を零し、眉間に皺を寄せた。
それを見かねたセンラはうらたの元へより、私に軽く一礼をしてからうらたの手元を覗き込んだ。
「…″近くの間、父上との顔合わせを控えるように″」
え…？
「…以上だ」
『ど、どういうこと…？』
近く顔を合わせることを控えるようにって、どうしてお兄様がそんなことを…？
私の言葉に、さかたは手を顎に傳え声を捻らした。
「陛下に限らず、まふ自身とも顔合わせが少なくなるって記してある。ってことは、まふはきっと今回の件について何か知ってるんよ」
「その何かを知ってい上で陛下に会うことを控えるようにと忠告した。…ただ事じゃなさそうやな」
志麻の言葉に、自身の背筋が粟立つのを感じた。
それに帰還の際の出迎えも不要ということは、お兄様は本当に私に会わないつもりだ。あの文書から察するに、きっと食事にすらお見えにならないのだろう。
「…俺からは以上だ」
うらたの瞳が、静かに伏せられた。
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続く (更新停止中)
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作者名：お餅。 | 作成日時：2020年9月27日 15時
