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You. side
その後も、私は志麻と夕食の時間になるまで色々な話をした。
稽古のこと、お兄様のこと、そして、他の3人のこと。
私が知らないような彼らの一面を志麻は話してくれたのだけれど、｢本人にバレたら俺の命が危ない｣と、冗談混じりに笑ってみせた。
オーバー過ぎる思考に面白可笑しく私も笑ってしまったが、他の3人には秘密にしておこうと思い、私は志麻と約束の指切りをした。
志麻は不器用ながらも、正直に自分の想いを伝えてくれたりする。
幼い頃からも、それは変わらなかった。
｢…あ、そういえば。さっき話してた兵士の話やねんけど｣
志麻はそう言うと、花壇の横に置かれてある小さなベンチに私を座らすよう促した後、思い出すようにして口を開いた。
｢確かうらたさん情報やと、王宮内に置かれている兵士の配置がいつもと変わってるって聞いたわ｣
『兵士の配置？』
｢ああ、さっきの稽古の時にな。うらたさん、結構そういうの覚えてるタイプの人間やから｣
そういえば、前にうらたから聞いたことがある。
王宮内に務めている兵士には、それぞれ割り当てられている配置があると。
普段はその割り当てられた自分の配置で任務をこなすと聞いたが、今の話を聞く限り、任務以前の問題らしい。
｢それに加えて、今回は多くの兵士が出入りしている。それも、俺ら近衛兵団には何の連絡もなしで｣
｢センラに何か情報が入ってるのかどうかも、まだ分からんしな｣と続けて言うと、志麻は塀の上に掲げてある大きな旗を見上げた。
深い青色を基調とした布に金色の紋章が刻まれているこの旗は、スフォリアの素晴らしい象徴だ。
まるで北から吹いてくる風に歯向かうようにして靡くその姿は、他国との戦いをする時のお父様の姿を現しているようだった。
｢そして、マフユ様がまだお帰りになられていない状況下でのこの実行度…｣
『…お父様は一体、何をお考えになっているのかしら…』
そう呟いた私の言葉は、誰にも拾われることはなくて。
未だ強く吹き続けている風の音にのせて、遠く遥か彼方へと消えていった。
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作者名：お餅。 | 作成日時：2020年9月27日 15時
