行方不明のヒーロー ページ2
「緊急の知らせがあるから駅前の喫茶店に来て。」
シオカラーズ…もとい、1号と2号からのメール。
普段の彼女らとは違う、物々しい雰囲気を纏った短文。
「それで……その、緊急の知らせって何ですか?」
アイスココアを一口吸う。
無意識に前を見る。普段快活なアオリは何もしゃべらず俯き加減に座っており、ホタルはテーブルの上にあったコーヒーを伏せた目で飲んでいた。
カップの中身が半分ほどになった時、ようやく言う決心が着いたのか、カップを静かに置き……
「……3号が行方不明になった。」
頭に?が浮かんだ。その言葉に反応できたのは、数秒経ってからの事であった。
「え……?」
信じられるか。だって、昨日会ったのだ。昨日、タコツボバレーに行くという元気な彼女の後姿を見送ったのだ。互いに健闘を願って。
自分は1号を救出しにタコツボキャニオンへ、彼女はタコの失踪が異様に多い奥の岬へ調査に。こちらは無事に事を終えた。実力のある3号が消えるなんて、あるだろうか?
「じいちゃん曰くね、変なところに迷い込んじゃって、そこで分断されちゃったんだって。3号との無線も通じないし。一応、じいちゃんの無線と私たちの無線は通じるんだけど、GPSが機能しないんだよ。」
「地下から抜けてはいないはずなんやけどね……地図に乗ってないって言うてたわ。」
ここでホタルが頼んでいたコーヒーを一啜り。
「そこで!4号にじいちゃんと3号を探して欲しいの!」
バンッと音がする勢いでアオリが立ち上がる。
「多分オクタリアンに誘拐されたかなんかだから。前科あるし。頼むわ〜」
手をひらひらとさせニヒルな笑みを浮かべてホタルが言った。
アイスココアを啜りながら、カエデに無線を送ってみた。電源が入っていない旨を伝える合成音声が流れた。スマホを握る手の力が強くなっていくのが分かる。
「了解です。」
気付かなかった自分にうんざりする。キャップを深く被り直して、オクタリアンの根城に向かった。
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2円玉(プロフ) - ますまろさん» 嬉しいコメントありがとうございます! (2019年1月21日 6時) (レス) id: dac448df51 (このIDを非表示/違反報告)
ますまろ - 語彙力がすごくて、その場の様子が頭にすぐ浮かぶので、この小説が好きです!更新頑張ってくださいね! (2019年1月20日 23時) (携帯から) (レス) id: 6e11289f4f (このIDを非表示/違反報告)
2円玉(プロフ) - カーボンさん» ありがとうございます!設定の所は特によく考えたのでそう言って下さるととても嬉しいです! (2018年8月4日 14時) (レス) id: dac448df51 (このIDを非表示/違反報告)
カーボン - 設定のところ読んでみて「いいな(*^^*)」と思おました!これからも頑張ってください (2018年8月4日 13時) (レス) id: ce3680d7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:2円玉 | 作成日時:2017年12月28日 13時