【コナン×文スト】太宰治が死んだら

・誘いか脅しか ページ18

__公安に来る気はないか？


中村理事官はそう云うと、目を細めて私の様子を疑っていた。


私が黙っていると中村理事官は少し目尻を下げ、話し始めた。



中「今の公安は"一人の男によって成り立っている"。だが、その下は人の顔色を窺うのが上手いばかりのエリートばかりだ」

中「もし彼が誤った判断をした時に対処出来る人材を探していてね。まぁ、そういう者は直ぐに警視庁に引き抜かれる」



中村理事官はポツポツと話し始めた。
私は黙ってそれを聞いていた。


中「彼がもしもの場合に陥った時の代わりがいない。太宰君。君の話は聞いているよ。

君さえ公安に来てくれれば将来の公安は安泰だろう」



中村理事官は私を遠回しに褒めているのだ。
だが、これは誘いより


脅しに近い。


しかも、"代わり"だとそう彼は云った。



太「…代わり、ですか？」


そう云うと、中村理事官は慌てたように頭をかいた。


中「嗚呼、言い方がいけなかったな。


___でも、間違ってはないよ」



私は耳を疑った。
温厚そうに見えて中々な



中「彼は優秀だよ。公安としてしっかり国に尽くしてくれるし、しかも、



私の命令にはそれに見合う成果以上の事をしてくれる。むやみに噛み付いたりしない」



中村理事官の目は冷静だが、濁っていた。


中「で、どうかな？」



私は勿論、その誘いを断るつもりだった。
だが、それと同時に彼、中村理事官の公安での立場を思い出した。


公安、特にゼロを取り仕切るトップに君臨する人物。


正しくそれに該当するのが目の前の男だ。
誘いを断りずらくする為に自ら来た、という考えが妥当だろう。
断った場合お前の立場は無いぞ、と云う事だろう。


さすれば私が答えられるのはその誘いを肯定する言葉だけだった。



目の前にいる男を見て思う。








__嗚呼、腹立たしい。

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