story...70 ページ33
真っ直ぐなその瞳から目が逸らせなかった。
影山くんの薄い唇が開かれる。
「シブキサン、俺はアンタのことスゲー好きです」
……知ってる。知ってるの、でもね。
目尻から雫が溢れた。
「最初はシブキサンがΩだから好きなのかもって考えてたんですけど、俺は、シブキサンがシブキサンだから好きです」
笑ったときに目を細めるのも、
ホットミルクがおいしいとこも、
口を滑らせるような抜けているとこも。
「全部好きです」
影山くんの声が、瞳が、匂いが、私を掴んで離さない。
全身で好きと伝えてくる。
「なのに、シブキサンはどうして好きって言ってくれないんですか」
影山くんの声が少し震えた。
驚いて見つめ返すと、彼の瞳はまだしっかりと、でも泣きそうに私を見ていた。
胸が、痛くなった。
『怖い、から』
涙で濡れた不格好な声で私は言う。
『影山くんの好きはすごく伝わってる。
私のこと、どこがいいのかわからないけど、本気で好きなの、知ってる。
影山くんに好きって言われるたびに嬉しかったよ。
でもね、私は違うの。
あなたみたいにはできない。
そんな風に好きを返せないから』
「それが……どうしたって言うんですか!?」
『Ωは!!』
影山くんがたじろいた。
『Ωは独りじゃ生きていけない』
αもそうだ。番って一人前って見られることが多い。でもそれってつまり、人間誰しも独りじゃ生きてはいけないってことだ。
『だから、Ωは番を作る。
でも、その関係をなかったことにできるのは、αだけ。
しかも、一生!
それがどんなに怖いことか、解る!?
捨てられちゃうかもって怖がりながら生きていくのは、絶対にいや。
Ωにとって、αとお付き合いするっていうのは、そういうことが前提にあるんだよ?
私は、そんな思いしながら生きたくない』
私の想いを影山くんに伝えられたらどんなにいいだろう。
でも、むりだ。
私は、愛されるのが怖い。
求められるのも怖い。
だって、私じゃ影山くんの大きな想いに応えられないから。
そのせいで幻滅されたらどうしよう。
別れようって言われたらどうしよう。
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いあ(プロフ) - ( ´ ▽ ` )ﾉさん» ありがとうございます!楽しんでいただけたようで、何よりです^_^楽しみに待っていて下さいね! (2020年4月15日 7時) (
レス) id: 8bf363f988 (このIDを非表示/違反報告)
( ´ ▽ ` )ﾉ(プロフ) - 完結おめでとう御座います！最後までキュンキュン楽しかったので終わってしまって少し寂しいです、、(;_;) 続編、是非書いてください！楽しみにしています(^^) (2020年4月15日 2時) (レス) id: 6e1c4f7906 (このIDを非表示/違反報告)
いあ(プロフ) - 萌川。さん» ありがとうございます!本当に嬉しいです。分かりました(笑)続編も前向きに検討しますね!! (2020年4月14日 19時) (レス) id: 8bf363f988 (このIDを非表示/違反報告)
萌川。(プロフ) - 完結おめでとうございます！この世に素晴らしいお話を産み落としてくださり本当にありがとうございます。とても美しくて尊い物語と出逢うことができて私は本当に幸せ者だと思います。作者様が楽しんで描けそうであれば、2人のその後の時間を是非とも覗かせて欲しいです (2020年4月14日 13時) (レス) id: 80fbd1d73c (このIDを非表示/違反報告)
いあ(プロフ) - あこさん» ありがとうございます!あこさんのコメントはいつも本当に嬉しくて、とても励みになりました。続編についても、前向きに検討しますね! (2020年4月14日 11時) (レス) id: 8bf363f988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：珈琲屋 | 作成日時：2020年3月31日 14時
