第二話「安室透/降谷零から見た「彼女」3」 ページ10
「江戸川くん、ケーキ食べる？」
「いいの？」
「いいの、透くんからのサービスだからタダなのだ」
『夏音、タダじゃなくて試作品だから』
「榎本さんから聞いたし、桃のコンポートを使ったケーキの試作でしょ？」
「うーん、生クリームもう少しあっさりしたほうがいいんじゃない」
「ほら、江戸川くん。あーん」
カウンター奥から立ち上がり、コナンくんの隣へ座って
彼の口元へ半ば強引にケーキを食べさせた
「ムグッ…あ、ホントだ生クリームがちょっと重いかな」
「でしょー江戸川くんもこう言ってるから改良の余地あり」
…コナンくんとはいえ、妬けてしまうな
「フフッ、夏音ちゃんはコナンくんと仲良いですね。安室さんと夏音ちゃんも兄妹みたいに仲良しですよね」
『僕と夏音は幼馴染なのでまぁ付き合いが長いことには違いないですね』
「透くん、ミルクティーおかわり」
『はいはい』
もう、失いたくない
夏音のたまに笑う、ぎこちない笑顔を見たとき思い出す
ヒロがﾀﾋんだ時の、夏音の、顔を
あきらめるような、絶望するような、目を
「とーるくん？透くん？」
「安室さん？どうしたの？」
「安室さん、顔色悪いですよ？バックヤードで休んでください」
『大丈夫ですよ』
ヒロ、俺は…夏音をちゃんと守れてるかな？
俺は、夏音のために何ができるだろうか
夏音の奥にある、暗い絶望がまだ晴れない
いつか、心を開いてくれる日を願って
第三話「嫌いな事と好きなもの1」→←第二話「安室透/降谷零から見た「彼女」2」
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作者名：クラウ・ソラス | 作成日時：2023年8月5日 22時
