第二話「安室透/降谷零から見た「彼女」1」 ページ8
『ハロ、今日も夏音と遊んでくれてありがとう』
今朝も「彼女」は変わりなくいつも通りだった
「彼女」こと千崎夏音とは長い付き合いになる
親友といたあの町で出会った女の子
近所に引っ越してきて、母さんから仲良くしてあげてと言われて
最初は何となく気に掛けていたが
夏音は、周りの子供とは明らかに違っていて
一人だけ浮いているようで消えそうな
不安定な子だなと思った
夏音は上のフロアに住んでいて俺はなるべく朝と夕方に会いに行くようにしている
生存確認、と言えば聞こえが悪いだろうが
実際に何度も栄養失調になりかけていたので
注意深く見ていなくては不安でたまらない
俺はハロにいつも通り家の留守を任せてポアロへ出勤した
夏音は、前世の記憶を持っている
普段、スピリチュアルなことは信じないのだが
「彼女」のいうことは間違いないと感じた
25歳の夏のある日、過労で意識朦朧のなか、
通勤のために乗り込む電車にその身を投げ
自ら命を絶った
5歳の女の子がタヒにそうな目で話してきた
それが嘘なら何が真実だと、親友が言った
親友…ヒロと俺と夏音である誓いをした
もしもこの三人のうちの誰かがタヒんだら
生涯をかけて、誓いを守ること
俺とヒロのどちらかがタヒねば、残ったほうが夏音を守る
一方で、夏音が唯一生き残ったら二度と自サツ未遂をしないこと
そして…俺とヒロの二人が生き残った時は――――
それを、誓いにした
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作者名:クラウ・ソラス | 作成日時:2023年8月5日 22時