逃避から始まる転生生活【名探偵コナン】 (ページ49)

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第十話「哀ちゃんとお茶会3」ページ49

「その笑顔を普段からしていれば対人関係で苦労することもないと思うのだけど」

お菓子を食べるのに夢中になっていたら、灰原ちゃんがそう言った

『…今、笑ってた？自覚ないんだけど…』

「えぇ。そんな笑顔を見せられたら男はイチコロね」

イチコロって…今まで言われたことないわ

『え…笑った自覚ないから実感湧かないけど…灰原ちゃんがそういうなら、そうなのかな？』

「…哀でいいわ」

話していたら、急に言い出した…名字で呼ばれるの嫌そうには見えないけど

『いいの？名前呼びしても？』

「いいわよ。私も貴方の事、夏音さんって呼ぶから」

そういう彼女は、少し優しい笑みを浮かべていた

『…何だか、哀ちゃんって小学生って感じしないよね…大人な雰囲気が漂うっていうか』

「…私、子供よ」

『そうなんだよね…どう見たって小学生なんだよ。でもさ』

『なんだか、昔の友人と話しているような気持ちになるんだ』

…哀ちゃんは、転生前にいた友人に似ている気がする

「昔の友人って、その子とはもう話していないの？」

『…うん、もう何年経つのかな…元気にしてるといいけど』

前世ではお互い忙しくてなかなか話せていなかったけど、誕生日とかイベントごとでは連絡を取り合っていた

「その子とまた会えるといいわね」

『…そう、だね』

灰原ちゃんの言葉が、重く聞こえた

もう二度と会えないけど…別の世界から、彼女の幸福を祈ってる

『ありがとね、哀ちゃん…少し、気が楽になったよ』

「そう、良かったわ」

そのあとも、お菓子と紅茶を楽しみながら、普段「彼」以外とほとんど話さないからいろんな話をした

『それでね、透くんったらが一人で帰ろうとするとカルガモの親子みたいに後ろに着いてきてさ』

「カルガモの親子って…」

『…彼が私のことを心配してくれるのは構わないんだけど、この年になるとうっとおしいんだよね』

精神年齢40過ぎなのもあるけど、過干渉して来られると正直迷惑なんだよな…

…買い物くらい一人でしたい

「ポアロの彼がそんなに酷かったとは思わなかったわ。意外ね」

『まぁ、いいけど。もう慣れたから…嫌だって言ったら最低限にしてくれるし』

「最低限ってことはやめないのね」

『やめるつもりはないんじゃないかな…あの様子だと』

「…色々苦労しているのね、お疲れ」

『うぅ…憐みの目を向けないで哀ちゃん…』