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第八話「全部、私のせい7」 ページ44

『…流石に、タヒんでない…か…』



意識を取り戻してしまった



病院に運ばれて、治療を施されたようだ



右足に包帯が巻いてあった



「…スゥ…スゥ…」



すぐ側には寝息を立てる「彼」がいた



疲れ切っているのか、目元にクマができている



『…零くん…』



そっと、「彼」の綺麗な金色の髪を撫でる



また、迷惑をかけてしまった



灰原ちゃんは大丈夫かな…



そして、風見さんと江戸川くんまで巻き込んだ



…この町ではこういったことは日常茶飯事とはいえ



大事な人や、その周りが傷つくのはみたくない



誰かが傷つくくらいなら、自分が傷つけばいい



どうせ一度タヒんだんだから、二度タヒんでも対して変わりない



でも、「彼」は私を気に掛けてくれる



位置情報アプリも、外出の際も、普段からも



…嫌だって言っても無駄なんだろうね



なぜなら「彼」は、孤独を恐れている



そりゃそうか…親友を失い、同期も皆失って



…恐れるのは誰だってそう



私が、二度目の逃避行を果たしたら



「彼」は泣いてくれるだろうか



いや、怒り狂うかもしれないな、若干怖いかも…



しかし、私は今も逃げたいと思ってしまう



学生を終えたら社会人となる



そしたらまたあの苦しい日々がやってくる



私はそれが恐ろしいんだよ



でも、それはワガママだ



決して、他人を巻き込んではならない



それでも「彼」は私を守り続けるのだろう



――全部、私のせいだ



私が前世の話を「彼」にしてしまったから



そのせいで「彼」の人生を縛りつけてしまった



「ん…ぁ、夏音!?」



「彼」が目を覚めた



撫でていた手をパッと離す



『…おはよ、零くん』



「…心配したんだからな」



「彼」は、私を抱きしめてくれた



『…ごめん』



『灰原ちゃんは大丈夫?怪我は?』



「大した怪我はないよ、夏音が庇ってくれたおかげだ」



「だがな、無茶しないでくれ…生きた心地がしない」



少し、抱きしめる手が震えていた…「彼」の不安が伝わってくるようだ



『…うん、気を付けるよ』



「彼」にあまり心配をかけたくないけどうまくいかないね…



私なんか忘れて…「彼」には、幸せになって貰いたい



だから、離れようと…何度もしているのにな


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ここまで御覧頂きありがとうございます。

第八話「全部、私のせい」はいかがでしたでしょうか?

今回は哀ちゃんとの絡みと合わせて、夢主の心境を書いてみました。

事件を書くって本当に難しい…。

シリアスな内容が続きましたが次回はとある出会いのお話となりますのでお楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。

第九話「愛犬ハロとの出会い1」→←第八話「全部、私のせい6」



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作者名:クラウ・ソラス | 作成日時:2023年8月5日 22時

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