第八話「全部、私のせい4」 ページ41
「おい、起きろ!ガキ!」バシッ
「ッ…ここは…」
『子供に手を出さないで!!』
車が止まって、どうやら杯戸港の倉庫街に連れてこられたようだ
いまだ眠り続けていた灰原ちゃんの頬を男は平手打ちしてきた
縛られたせいで、うまく動けない私は声を出すことしかできなかった
『この子に触るな!』
それでもなんとか灰原ちゃんの元まで行き、彼女を庇うように前に出た
「お姉さん…」
『大丈夫?痛かったでしょう…』
ここで不安にさせてはいけないと思い、彼女の様子を見る
「え、えぇ…大丈夫よ」
良かった…少し頬が赤くなった程度か
『あの、この子はいますぐ解放してください。私の事は好きにしてもらって構いませんから』
「お姉さん!」
「何度も言わせるな、もう決定したことだ」
犯人の一人に灰原ちゃんの解放を言ったが、聞いてもらえなかった
目的がはっきりしているということ、リーダー格がいること
…子供を狙った犯罪組織ということか
まぁ…どうせ、「彼」がこちらに向かっているはずだから時間の問題だろうけど
そう思う理由は、私の携帯にある
「彼」は私の携帯に位置情報アプリを仕込んでいた
何度かそういったトラブルを経験して気付いたのだが
あえてアプリを残したままにして知らないフリをしている
別に困ることはないからね
「な、なんだって!?白の車が一台こっちに来てるって、どういうことだよ!」
そのとき、男の一人が騒ぎ出した
どうやら「彼」がここを見つけたようだ
「お、お前!!なにかしたのか!腕を縛っているのにどうやって外と連絡を取った!?」
細い男が持っていたナイフを私に突き立てる
『さぁ、"私は何もしていません"』
あくまで、「彼」が独断で行動してここまで来ただけのこと
「チッ、リーダーがまだ来てないのに…このままじゃ」
その瞬間、薄暗い倉庫の中に車のライトが照らされる
「そこまでだ!!両手を挙げて大人しくしろ!!」
しかし、そこに来たのは風見さんだった
…なるほど、この人も巻き込んでしまったのか
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作者名:クラウ・ソラス | 作成日時:2023年8月5日 22時